【ロケットパンチを君の胸に♪】〔第三部・最終編〕-2
鈴美は、うなずく…確かに、そのシーンがテレビで流れたら…むごすぎる。
《そうそう…日本だったら【皇居の宮○庁内部や、その近くにある建物】もダメよ。今まで乱入して占拠した怪人は、一匹もいないんだから…その理由は、鈴美ちゃんなら言わなくてもわかるわよね…》
「はいっ!えーと、テレビ放送されるスポーツ施設と…世界遺産は、襲ってはダメと…勉強になります」
鈴美は、取り出したメモ帳に書き記す。
「悪の組織も、襲う場所には、いろいろと気を使っているんですねぇ。じゃあ…襲ってもいい場所ってあるんですか?」
《代表的な場所は、ここね…》
空中に浮かんだ四角い、立体画面に…【東京タワー】が映し出された。
《ここなら、怪獣に破壊されても、すぐに再建されちゃうから平気よ…えーと、ペパーミント伯爵、なん代目のタワーになるんだっけ?》
首領が、ペパーミント伯爵に尋ねた。
「さあっ?数えきれないほど怪獣に壊されては、復活してきましたからね…悪の組織の間では、『不死鳥タワー』って呼ばれているほどですから…」
「へえっ…東京タワーって根性あるんですね…」
感心する、鈴美。
《あとは【都庁】と、【国会議事堂】なんかを怪獣が、破壊するとポイント高いわね…》
「しつもーん!東京タワーとか、国会議事堂とか、都庁は壊れてもすぐに再建されるんですけれど…どうして、そんなに早く造れるんですか?」
まるで、教室で授業を受ける生徒のように、鈴美は手を上げた。
「うんっ、いい質問だね…」
ペパーミント伯爵が、答える。
「これは、秘密なんだけど…【よく怪獣に狙われる、建造物の地下には同じモノが、いくつもストックしてあって…壊されるたびに、迫り上がってくる】仕組みなんだ」
空中の画面に、幾層にも地下に積み重なった【国会議事堂】が現れた。
鈴美は、初めて明かされた真実に驚愕する。
「知らなかったです…まるで、タケノケみたいですね」
瓦礫〔がれき〕を押し退けて、地下からムクッムクッと迫り上がってくる【東京タワー】や【国会議事堂】の勇姿を、鈴美は思い描いた。
《いろいろと話してきたけれど…》
と、ここでクリオネ首領は、ヒレのような手を軽く丸めた…どうやら、拳を握り締めているらしい。
《【テーマ・パーク】とかの大型アミューズメント施設を、破壊した悪の組織は…休日に家族で出かけるコトを、楽しみにしていた子供たちを敵に回すコトになって世界征服しても…彼らが成長して…反乱分子になる危険があるの…》
鈴美は首領の話しに、なるほど…と思った。
《だから、テーマ・パークは、決して壊してはいけない不可侵領域なの…それなのに、戦慄地球防衛軍の連中は破壊しようとしている…ペパーミント伯爵!鈴美ちゃん!なんとしても、連中のテーマ・パーク破壊計画だけは、阻止してちょうだい…これは、悪の組織全体の尊厳を賭けた戦いよ》
なんか、わかったような…わからないような理由だったが、鈴美は悪の幹部候補として、静かにうなずいた。