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【ロケットパンチを君の胸に♪】
【コメディ その他小説】

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【ロケットパンチを君の胸に♪】〔第三部・最終編〕-3

 その頃…姉、涼華は戦慄地球防衛軍のロボット格納庫で、巨大ロボットでありながら…頬を、ピクッピクッと、痙攣〔けいれん〕させていた。

『さあ、どれにする?好きな攻撃アームを選びたまえ』
 メガホンで暗闇長官が、涼華に言った。

 涼華の前には、ベルトコンベアーに乗っけられた。さまざまな【ロボット・アーム】が並べられていた。
『この【ドリル・アーム】なんてどうだ…高速回転して敵の、どてっ腹に風穴を開ける…定番の人気アームだ!それとも、こっちの【パワー・アーム】の方が好みかな…強力な油圧式万力が、敵の体を捕えて粉砕する…破壊力も従来のモノより1・5倍、当社比でパワーアップのおススメ品だ』

 まるで、テレホン・ショッピングのノリで喋る、暗闇長官に涼華は拳を握り締めた。

「なんの冗談ですか…なんで、あたしがそんなモノを腕に着けないといけないんですかぁ!!」
 怒る涼華に、暗闇 五郎は…さらっと。
『ロボットだから』
 と、言い退けた。
 涼華の全身が、さらに怒りに震えた。
「あたしは、人間です!」
『そうか…女の子なら、こっちの方が気に入ってもらえるか…』
 暗闇がパチッ!と指を鳴らす…今度は、巨大なハンガーに吊り下げられた、衣装が流れてきた。

 バニー・ガール…セーラー服…ナース服に…スクール水着やウェデング・ドレス…などなど。
『どうだぁ、これなら…さあっ、好きな衣装を選びたまえ…わっははは』
 ほとんど、着せ替え人形扱いだった…涼華は、暗闇長官を睨みながら。
「変態男!!」
 と、怒鳴った。

 なかなか、涼華の機嫌が直らないのをぼやきながら…暗闇長官は、翔がくつろぐ別室へとやって来た。
「どうでしたか?涼華お姉ちゃんの様子?」
「ダメだな、いったい何が、そんなに気に入らないのか…さっぱり、わからん」
「そうですか…」

 二人は、部屋の隅に置かれた、奇妙な物体に目を向けた。
 それは…二メートルほどの…透明な球体だった。まるで、デパートやスーパーマーケットに置いてある『ガチャポン』から出てきた、容器のような球体を眺めながら…翔は、ため息をもらす。

「アレに、いったい誰が入るんですか?」
「う〜ん、候補者を募ったのだが…誰も名乗りをあげなかったからな」
「でしょうね…誰だって、巨大フンコロガシに転がされたくは、ありませんからねぇ…」

「敵の目を欺く、面白いアイデアだと、思ったんだがなぁ…このカプセルを中心にして、巨大フンコロガシが、遺伝子操作をした粘液を出しながら…雪だるまを作るみたいに転がす…ってのは」

 その時…ラーメン店主姿のヒーロー…極神 狂介が[緋色屋]と書かれたオカ持ちを下げて、部屋にやって来た。

「まいど!空の丼を取りにきました」
「ご苦労さん、そこにあるから…持って行ってくれ」

 極神 狂介は、丼を回収しながら、暗闇長官に奇妙なコトを聞きはじめた。
「あのぅ…暗闇長官『生体組織保管室』から、ヴルキューレ・αの元の肉体…持ってくるように誰かに、指示しましたか?」

「元の肉体?あぁ…あの生首のコトか…いいや、誰にもそんな指示は出していないが…」
 極神の言葉に、暗闇長官は首を傾げる。

「それじゃあ…あんな物…何に使うつもりなんだ?いや、さっきここに来る途中に…翔くんとヴルキューレ・α〔涼華〕はどこにいるのか聞かれたので話したのですが…翔くんのコトはトップシークレットなので、秘密にしましたが」

「ふむっ?まっ…あれは、いずれ生ゴミと一緒に出す予定だから…どうなっても、いいが…どんな人物だった?」
「帽子を深く被って腕に[報道]の腕章をつけた…クマっぽい顔の人でしたよ」

「そうか…そう言えば、極神くんには、まだ聞いていなかったな…君は雪だるまは好きか?」

「好きですよ…子供のころは、よく友達から雪玉に入れられて転がされ…遊んだものです…いきなり、雪だるまの中から飛び出して、通行人を脅かしたりしました…懐かしいっスね」
「そうか!極神くんは、雪だるまが好きか!意外と近くに適任者がいたな…あっははは」
 暗闇長官は、怪しく笑った。


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