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【ロケットパンチを君の胸に♪】
【コメディ その他小説】

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【ロケットパンチを君の胸に♪】〔第三部・最終編〕-1

《困ったコトになったわね…まさか、フェアリー☆テールの偽物が現れるなんて…》

 悪の秘密結社…フェアリー☆テールの謁見の間で、首領の人間大クリオネが、水槽の中に浮かびながら言った。
 謁見の間には、フェアリー☆テールのファースト幹部…ペパーミント伯爵と、幹部候補の鈴美がいる。

 戦慄地球防衛軍【紅い幻魔団】が、フェアリー☆テールを装って、テーマ・パーク破壊を予告してからすでに三日が経過していた…。
《あと二日…なんとしても、テーマ・パークの破壊は食い止めないと…》
 クリオネの首領は、ペパーミント伯爵の方を見た。
《紅い幻魔団の、その後の動きはどう?》
「沈黙を続けています…連中は、こちらが動くのを待ち構えているみたいです」
《やっぱり、そう出てきましたか…うむっ》
 クリオネ首領と、ペパーミント伯爵は腕組みをして、困惑の表情をした。二人のやりとりを聞いていた鈴美が、口を開いた。

「あのぅ…確かに名前を語られたのは、イヤですけれど…あたしたちに代わって、破壊活動をしてくれるなら…名声…じゃなかった、組織の悪名が広がって、反対に好都合なんじゃ?」
「鈴美ちゃん、それは違うよ…」
 腰まで伸びた金髪を揺らして、ペパーミント伯爵が微笑んだ。
「悪の組織にも、やっていい破壊活動と、やっちゃいけない破壊活動があるんだ」
「えっ!?そんな決まりがあるんですか?」
 鈴美は、驚いて聞き返した。

《いい機会だから、鈴美ちゃんにも話しておいた方がいいわね…悪の組織同士は、横のつながりを大切にしているってコトは知っている?》
「はい、ペパーミント伯爵から教えてもらいました」
《その中で、破壊してはいけない施設や建造物の取り決めが、いくつかあってね…》
 空中に四角い、立体画面が現れた。

《まず、世界遺産に登録された場所を、壊したら怒られるわね…怪獣を使って【ギザのピラミッド】で積み木遊びをさせたりとか…【イースター島のモアイ像】を並べ変えて、ボーリングのピンにして倒させたりとか…【ナスカの地上絵】に落書きさせたりとか…【屋久島の縄文杉】を別の場所に、植え替えさせたりとか…イタリアの【ピサの斜塔】の隣にアメリカの【自由の女神像】を運んできて、立たせたりしたら…世界各地の悪の組織から、非難の目で見られるわ…》

「でも…作戦で破壊の必要がある時は、どうするんですか?結構、そういった場所って狙っている悪の組織も多いと、思うんですけれど?」
「うん、いいところに気がついたね…」
 ペパーミント伯爵が、恒例の口調で説明をつなげる。

「そうゆう時は…悪の組織の連合集会で申請して、承諾を受けないといけないんだ…厳しい審査があるから、なかなか許可の下りた組織はいないけれどね…」
「へえっ…」

《あと、スポーツ関連の競技施設なんかも、怪獣に襲わせて破壊するのは禁止されているわ…特にテレビ中継される施設…【格闘技ファンが聖地と崇めている、会場】とか、【サッカーのスタジアム】とか、【国技をやる場所】とか、【プロ野球を中継するドーム】なんかが近くにあったら、怪獣を暴れさせる時は、注意が必要よ》

「なんで、スポーツ施設は、ダメなんですか?」

「サッカーファンや、野球ファンから睨まれるからね、鈴美ちゃんは…Jリーグの選手やプロ野球選手…人気力士が怪獣に踏み潰されるシーンなんか見たくないだろう」


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