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【ロケットパンチを君の胸に♪】
【コメディ その他小説】

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【ロケットパンチを君の胸に♪】〔第二部・陰謀編〕-7

 どこかの公園で、リアル・タイムで中継されている映像らしく…背後から顔を覗かせて、ピース・サインをする見物人や周囲の雑音が聞こえてくる。

「これ…どこの、組織ですか?」
 鈴美が、首領に聞いてみた。
《見たことも無いユニフォームの組織ね…ペパーミント、知っている?》
「わたしも、初めて見る組織です…今どき、こんなシンプルな格好をした、悪の組織なんて…いるんですね」

 群がる見物人に、もみくちゃにされる、三人の画面の下にテロップが、右から左に流れた。

【緊急!電波ジャック中継…恐怖の惡の秘密結社…『フェアリー☆テール』有名テーマ・パーク襲撃!破壊を予告!】

「えっ!??」
 怪奇・クモ女が、自分たちの組織の名前が突然、画面に流れたのを見て…驚きの声をあげた。
「首領、いつの間に、こんな作戦…立てていたんですかぁ」
《あ、あたし…知らないわよ!!》

 フレームの外から「キュー!」と、言う合図のような声が聞こえ…見物人にもみくちゃにされながら、中央の人物が喋りはじめた。

『わ、我々は…残虐非道の、惡の組織…フェアリー☆テールだ…ぁ』
 ボイスチェンジャーで、変えられた声が聞こえきた。

『い、今から五日後…我々は【東京・寝ずにぃ〜ランド】と【シー坊主パラダイス】を破壊する…こらっ!カメラから離れろ!』
 カメラのレンズに、顔を近づけて覗き込む、近所の子供の頭を、犯行声明を発表した人物が、怒ったように押し退けた。

『はぁはぁ…いいか、五日後だぞ…いてぇ!こらっ!覆面を引っ張るな!』
 三人は、ポンッポンッと、頭を後ろから叩かれたり…引っ張られる円錐形の覆面を、取られまいと…必死に手で押さえている。
『お、おまえらっ!いい加減にしろ!!』

 その時…フレームの端から、チラッと戦慄地球防衛軍の隊員が、見物人を威嚇して…クモの子を散らすみたいに、群衆が逃げていくと。

 慌てて、カメラのフレームから外れるように、身を隠したのを…鈴美たちは、しっかりと見た。

 直後に…画面には[しばらくお待ちください]のイラスト画像が、映しだされた。
「きゃははは…バッカばっか!」
 酔っぱらった、チョコパフェ生徒会長が画面を指差して笑い。

 クリオネ首領は…胸の前でヒレのような手を、ちょこんと組んで…。
《大変なコトになったわね…》
 と、呟いた。

 その頃…姉、涼華のいる【紅い幻魔団】の本部では…。

「ひどい目に合いましたね…まさか、あんなに見物人が集まってくるなんて、思っていませんでした」
 中継から本部に帰ってきた、翔は白い覆面を脱ぎながら言った。

「まったく、放送中はこちらが手出しできないと思って…あの連中の親は、どんな教育をしているんだ」
 と、叩かれた頭を押さえながら…暗闇長官が、ぼやいた。

「最後に、隊員が市民を追い払った場面が流れたのは、まずかったんじゃないですか…」
 極神 狂介は、魔法使いのような白装束を脱いで、ラーメン店主にもどる。

「うむっ、少しばかりな…だが、こいつが完成すれば!」
 暗闇長官の示した先には、強化ガラスのケースに入った…【巨大フンコロガシ虫】が、鎖につながれ、もぞもぞと蠢いていた。

 その、黒光りする背中には、戦慄地球防衛軍の隊員たちが。[フェアリー☆テール専用怪獣]と、ペンキで…書いている姿があった。
「成長ホルモンを大量に、投与していざと言う時のために準備してきた、偽物昆虫怪獣の出番が…やってきたな」

 暗闇長官は、まるで我が子を見るように、巨大フンコロガシ虫を眺めた。
「でも、少し良心が痛みますね…涼華お姉ちゃんを合体させるために、テーマ・パークを襲うなんて…」
「正義のためには、多少の犠牲はしかたがないことだよ…翔くん」
 暗闇長官は、自分の立案した作戦に、ニヤッと笑った。

? フェアリー☆テールの名を語り…テーマ・パーク襲撃を予告する。

? 巨大フンコロガシにテーマ・パークを襲わせる。

? 「子供たちが大変だぁ!!」と、言って涼華を出撃させて、合体しなければならない状況を作りあげる。

? さらに、汚名を晴らそうと出て来た。フェアリー☆テールの連中も、ついでに…倒す!

? 戦慄地球防衛軍【紅い幻魔団】の、名声は高まり…めでたしめでたし。
「ふふふ…完璧な作戦だぁ!!テーマ・パークを地獄図に変えてやるぅ!あっはははは…戦慄地球防衛軍!に栄光あれ!」

 まるで悪の親玉のように高笑いをしながら、陰謀を張り巡らす…暗闇長官を眺め…中学生パイロットの翔は。
(正義の組織がこんなコトやってもいいのか?)
 と、心の中で呟いた。

【第二部・陰謀編…完】


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