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Odeurs de la pêche <桃の匂い>
【同性愛♀ 官能小説】

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第4章 展開-10

「先ほど翔子さん、ご自分はビアンじゃないって仰ったでしょ。それって本当なんですか?」
「ほんとよ。ビアンじゃないわ。男が嫌いなだけ」
「…………」
「どう違うの? って顔ね……翔子に言わせたら、ビアンって言葉はアノルマルな人って意味に聞こえるの。同性愛とか、異性愛とか、両性愛とか……言葉にあるくらいですもの。人間のsexはイーブンだと思うのよ。言葉は後から作られるものでしょ? だから、アノルマルだってその前からあったってことでしょ。異性愛の比率が高いからといって、それが正常な人間だってどうして言えるのかしら。翔子から見れば、あんな筋肉と結びつく異性愛の方がよほど異常だと思うわ……なんて……。普段、こんなことを思っているわけじゃないのよ。翔子はそんなことは考えたこともないの。自分はあなたのように何の悩みもなく、ごく自然だったんだもの。だからそれでいいじゃない、と思ってるだけ。だからビアンじゃないって言ったの」
 律子の頬に血が通いだして、ツキが落ちたようにいきいきと輝いていきました。
「教授……やっぱりすごい。翔子さんのこと分かってらしたのね。あの子なら、あなたの悩みを救ってくれるかも知れない……って仰ったんです」
「律子さんって、そんなに悩んでらしたの? いつから……?」
「中学の頃から……親友に告白したら気持ち悪がられて……」
「可哀想に……でも、その子にしてみれば、その子の考えがあるわけだし……かといって、断り方ってものがあるに気味悪いなんて……ね。翔子の家にはテレビはなかったし、母も母だったし……。だから、律子さんのような悩みはなかったけど、気持ちは分かるわ。ほんと、常識に固まっている人が多いですものね。そういう人は自分が常識人だと思っているから、少し違う人が認められないのね。いやね。翔子なんか、ついこの間まで<世間知らず>もいいところだったけど、今ではそれが良かったって思ってるのよ」
「…………」
「どうしたの……? 急に泣きそうな顔して」
「…………」
「いらっしゃい……」
 私は、震えている律子を引き寄せて抱きました。ポッテリとした形の良い律子の唇が少しばかり開き、私のキスを受け入れたがっていました。舌先で彼女の歯茎を刺激して唇を離すと、彼女の唾液が伸び、糸を引いて落ちました。私はもう一度唇を寄せて、彼女の唾液を啜り上げながら深いキスをすると、私の胸に顔を埋めてしゃくり上げるのでした。
 人に言えない悩みを、長い間かかえていたことが察せられて、愛おしくなると同時に、小夜子よりはるかに感じやすい真性の<ビアン>だと感じました。
 律子は、私の部屋着に涙を浸ませて立ち上がると、私に背を向けてパンティーを脱ぐ動作をし始めたのには驚きました。
「……そんなことして……何かしたいの?」
「ア……いえ……キスした後、そうするのかなって思って……」
 真っ赤になって弁解する律子は、何かでそんな情報を仕入れてそれを信じ込んでいたのでしょうか。ソファに突っ伏して手をばたつかせながら恥じらっている様子に、私は、久しぶりに声を上げて笑いました。
「ごめんね笑ったりして。律子さんの格好が子供みたいで可愛かったものだから、つい」
「私ったら……恥ずかしい……」
「恥ずかしがらなくていいのよ。あなたってなんて可愛い人なの……そうだ、お食事していく? お知り合いのお祝いしましょうか。翔子、これでも結構お料理は得意なのよ。もう帰らなくちゃいけない?」
「いえ……あの、私下宿なんです。小さいお部屋で一人……」
「そうなの……? じゃあ、ここに越してらっしゃい。善は急げよ。お部屋はあるからドウセイしましょ。いいでしょ?」
「同棲って、いいんですか私なんかと」
「なあに? その私なんかと……っていうのは」
「だって……私、長野の山育ちだし、オヒメサマと同棲だなんて……」
「おバカさんねえ、律子は」

 引っ越しが落ち着いて1ヶ月ほど経った頃、律子が小さな封筒を差し出したのです。
「なあに、これ」
「お金です。長野の実家から仕送りがあったものですから……。引っ越しも、ここの生活費も、全部お姉ちゃんにオンブにダッコじゃ申し訳なくて。これで新しいパンティーお買いになって……」
 そう言うものですから、私は<ありがとう>とは言ったものの、なぜ私に新しいパンティーを買えなんて言うのかしら……と、不思議に思って考えてみたら、そう、こんなことがあったのでした。

 律子と初めて過ごした夜でした。私の脱いだパンティーを手に取って、しげしげと眺めながら不思議そうな顔をしていたのです。
 私が身につけている物は、いまだにミニョンの私物だけでした。ミニョンのパンティーは本絹の最高級品ですが、すでにレース部分にホツレが出ていましたし、洗濯疲れもしていたのです。私はそんなことに全く頓着しないので、その3・40枚の全てが同じようなものでした。それだけでこの何年も過ごしてきて平気だったのです。
「どうしたの? 翔子のパンティー……へん……?」
「いえ……そうじゃないんですけど……」
「わかった。翔子が妖艶な黒とかピンクのTバックでも履いているって思ったんでしょ?」
 というと、真っ赤になって、私のパンティーで顔を覆ったのでした。


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