図書委員さん再び-3
放課後。
堅く閉じた図書室のドア。
そのドアの隙間から白い靄のような妖気がシュワシュワと流れ出て。
外の空気と混じり合い、薄まり消えていってる。
こんなの見えるのは僕だけなんだろうけど。
きっと図書室の中は並々ならぬ妖気が充満してんだろな。
そのドアの前で両手をダラリと両脇に下げ自然体で立つ僕。
そっと両目を閉じると。
「フゥゥゥゥッ」
長い息をひとつ吐き出す。
恐怖は?
……まるっきりない!
エッチな下心は?
……ちょっとある!
よし!あとは『図書委員』さんを慰めて。
彼女のいるべき世界に送り出すだけだ。
強い意思をまなこに込めて。
クッと両目を開く僕。
ちっとは二枚目風の顔になってるかな?
…なんて考えてるばーいじゃない。
行くぞっ!
ドアに手をかけると。
ガチャ…。
鍵の開く音。
これは僕の力かな?
それとも『図書委員』さんが誘ってるのかな?
どっちでもいいさ。
僕のやるべき事はひとつだ。
カラカラカラカラ…。
軽やかな音を立てて引き戸を開けると。
溜まった煙が溢れ出るように解放される凄い妖気。
立ち上る靄の中のようなその妖気の中に迷う事なく一歩踏み込む僕。
『図書委員』さんの姿はない。
けどこの中の何処かに潜んでいる事ははっきりと感じられる。
『図書委員』さん…出てきなよ。
心の中で呼び掛けながら更に歩みを進める僕。
カラカラカラカラ…ピトッ、ガチャ。
背後で引き戸が閉まり鍵がかかる音。
そんな事では動じないさ。
シィィィ―――ンって音がするくらいの静寂の中。
口許に笑みを湛えながら進む僕。
敵意のない事を全身で体現してんだぁ。
けど…。
やっぱ一筋縄じゃあ行かないよね。
本棚から十数冊の本が音もなく抜け出ると宙に漂い。
次の瞬間。
僕目掛けて飛んできた。