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裏路地の女
【その他 官能小説】

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裏路地の女-5

涼太が見た若い女は彼の初恋の女に似ていたからである。
しかし、別人だった。
涼太は落ち着き、ほっとする。

「お客さんを連れてきたからね」
「あ、おばさん、すみません」

扉の隙間からその若い女は顔を出した。
確かに写真の女だった。
「どう、写真と同じでしょ」

遣り手女は涼太の顔をしげしげと見つめていった。

「そうだね、同じ人だ」
「どう?気に入ってくれた?」
「うん・・・」
「じゃ、よかった、ではわたしはこれで戻るからね」

「あの・・おばさん時間はどのくらいだっけ?」
涼太は女に聞いた。

「今から2時間だよ、じゃあ、マリアよろしくね」
「はい、おばさん、どうもすみません」

女はマリアに(じゃあね)と言って帰っていった。
これが彼女の仕事なのだろう。
またあの場所へ戻り、他の客を捜すのに違いない。

この女の取り分は、後で手数料として何割かを若い女から貰うのだろう。

涼太はその部屋の中に入った。

物があまりなく、若い女の部屋というイメージではなかった。
しかし、枕元には花瓶に一輪挿しのピンク色の薔薇があり
涼太の心を和ませた。

「あの・・・先に金を払うんだよね」
「はい、先にお願いします」
「大一枚半だったね」
「そうです」
「じゃあ、これで」

涼太は財布から金を出してマリアに渡した。
「ありがとうございます」
涼太から金を受け取り、マリアは大事そうに自分の財布の中に入れた。

「あの、聞いていいかな?」
「何でしょう?」
「ここは君が住んでいるんじゃないよね、何もないし」
「そうです、この部屋はお客さんを相手にするだけのお部屋なの」
「そうなんだ・・」

その部屋は四畳位の一部屋だった。

入り口を入ると赤い派手なカーテンが掛かっていて
それを開けると布団が敷いてあり
その上には薄いピンク色のカバーが被せてあった。

枕元にはティッシュの箱とコンドームが2枚ほど置いてある。
それは男女の交わりに於いては必要なものだからだ。
若い涼太はそれを見てドキドキし、興奮していた。

天井にはオレンジ色の電球が無造作にぶら下がっているだけだった。

涼太がマリアの顔を見たとき
彼女の頬がほのかにピンク色に染まっていた。

それはまるで始めての性の交わりを待つ花嫁のように
恥じらいでいるように涼太には見えた。



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