投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

〜吟遊詩〜
【ファンタジー その他小説】

〜吟遊詩〜の最初へ 〜吟遊詩〜 4 〜吟遊詩〜 6 〜吟遊詩〜の最後へ

〜吟遊詩(第1部†序言・運命†)〜-5

「歌で人を操る…じゃが、この印を付けられた者だけじゃがな」
そぅ言ってじぃちゃんが首元から手を離すと倒れていた人の体が風化しているかのよぅにコナゴナになり風に拐われて行ってしまった。他の黒の集団も同様に…。
「元々死人だったさ。生きている奴らよりは扱いやすいぜ。」
椿が挑発するように言った。
「さすがに衰えたか?ワシはスピードではお前に負けても技では負ける気がしねぇ。てめぇはワシを操ることはできんよ」
「その為にアイツがいるのさ。なんとしてでもお前を操って結界を解いてもらう…」
椿は一瞬のうちにじぃちゃんの目の前に来ていた。
(やはりスピードは衰えてないか…)
じぃちゃんはそぅ思いながら、なびく椿の髪の間からサンを垣ま見た。サンは細く微笑んでじぃちゃんを見返した。
「お手柔らかに…」
じぃちゃんはサンのただならぬ力を感じとっていた。
「ぞくぞくするだろ?」
じぃちゃんの心を見透かしたかのよぅに椿は不気味な笑みでそぅ言った。意味はないだろうと思ったがじぃちゃんはその椿の顔をめがけて拳をふりかぶった。
「お前の相手はあたしじゃないよ。」
そぅ言いながら椿はバックテンをするかのよぅに身を交すと2、3度地を蹴りあげ屋根の上にある十字架に腰を下ろした。高みの見物のつもりだろぅか…。じぃちゃんの拳は虚しく空をきっていた…。椿が戦いから外れたのを確認するとサンが口を開いた。
「僕のブレッド…炎なんですよね…。」
「なんであろぅとワシには効かんよ。」
ホントは体が限界を向かえようとしていたが悟られまいとしてじぃちゃんは強がった。
(技が使えればの話じゃがな…しかし、椿が見物を決めこんだことは都合が良かった。あぁは言ったものの今の状態では勝てるか分からんからな。結界を張り続けている事も問題だ…どんどんブレッドが消費されてく…。でもユノはこの戦いに巻き込みたくないし…それに何より、まだついていけんじゃろうなぁ)
「いきますよ?」
じぃちゃんがそんな事を考えているのを知ってか知らずか、サンは待ちきれなくなり叫んだ。サンは戦いたくて体がウズく。
「ファイアボール!」
サンが何か技の名前を叫び地面を殴りつけるよぅにすると、サッカーボールくらいの炎の玉がじぃちゃんの足元に向かっていくつも飛んできた。炎の玉は地面にブツかると煙を揚げながら一瞬大きく燃え上がった。しかし、じいちゃんはキレイにジャンプしてそれを避けていく。一際大きくとびあがり宙を舞ったとき煙の切目からサンが先程とは違う構えをとっているのが見えた。
(落ちたところを狙われる…!!)
じぃちゃんは瞬時にそぅ察した。技の名前を唱えようとサンが口を開く。
「フレイムッ…━」
(クソっ!頼む回復しててくれよ!!)
「レストッ!!」
じいちゃんはサンより早く技の名前を唱えた。すると、じぃちゃんが着地するであろぅ場所より僅かに高い所に足場が現れた。じぃちゃんがそこに足を降ろしたとき、サンは狙いを定め直して、技の続きの名前を唱えた。
「━…フルー..ド」
今度はさっきの炎の玉より大きなものが…でもさっきとは違い少しドロッとした液体のよぅな火の玉が一つだけ放たれた。それが当たると同時にじぃちゃんはその足場を離れた。地面に落ちた足場はガシャンッと音をたてて壊れた。じぃちゃんの一連の動きを見たサンは満足そぅだった。
「すごくイイですね♪」
じぃちゃんは黒の集団が持っていた中くらいのナイフを拾いあげた。自分で武器を錬金した方が丈夫であり馴染みも良かったが今はとにかく武器を練ることで余計なブレッドを使いたくなかった。そんなじぃちゃんを尻目にサンの技は次から次へと生み出される。右手を前に伸ばし、そこに左手を添える。そして…、
「ファイァーウォール」
と唱えるた。するとバチバチと音をたてながらサンの指先から肩に及ぶまで炎につつまれた。グッと足に力を入れ、目一杯地面を蹴った。ドーンッと音と共にサンがじぃちゃんをめがけて突進してくる。あまりの速さにサンが進んだあとには爆風と砂埃が舞った。サンは燃え上がるパンチを思いっきりじぃちゃんめがけてふりおろした。手にはめられているメリケンサックは炎に包まれて赤々と熱を帯ていた。


〜吟遊詩〜の最初へ 〜吟遊詩〜 4 〜吟遊詩〜 6 〜吟遊詩〜の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前