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『快楽と縄』
【SM 官能小説】

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『快楽と縄』-3

3.アイツが現れた日

 アイツが現れたのは、まったく突然のことだった。 

 ジイサンが訪れるとアタシは、まず用意しておいた酒肴でおもてなしをする。
 それから休息をとってから、ジイサンをお風呂に入れ、私も裸になってジイサンの身体を洗うサービスをし、それからジイサンを先に出しておいて、一人で残ってゆっくり身体を洗ってから、アタシがバスタオルを体に巻いただけの姿で寝室へ行き、そこでめでたくジイサンとお床入りすることになっているのだ。
が、その日は違った。

 私がバスタオル1枚だけをまとってお風呂から出て寝室に入ると、そこに見るからに屈強そうな40歳前後の見知らぬ男が立っていた。
その男こそ、まさにアイツだった。

「キャア、あんた誰?」
 アタシは驚いて、思わず叫んだ。
 アイツは眉ひとつ動かさず、無言でそこにそのまま立っていた。

「あっはっは・・・、驚いたかい?
 なあに、心配することはない。
 わしが頼んで来てもらった、ジョージヤだよ。
 この男がこれから、わしとお前のセックスが充実したものになるように、お膳立てをしてくれるんだよ」
 無表情で立つアイツに代わってジイサンが、しわがれた声でアタシにそう説明した。
「えっ、それ、どういうことなの?訳がわからないわ」
 アタシは、その場に立ちすくんだままで、そういった。

「大丈夫だ。どういうことだか、その男がすぐやってくれるからわかるよ。
 それじゃあ、ひとつよろしく」
 ジイサンがそういって手で合図をすると、アイツは軽くうなずきアタシに近寄ってきて片手でアタシの肩をつかむと、もう一方の手でバスタオルをアタシの身体からひきはがした。
「キャア、何をするのよぉ、やめてよぉ!」
 アタシは胸をアソコを手で押さえながら、アイツの手から逃れようとした。

 するとアイツは、サッとアタシの後ろに回り、片手で身体ごと抱くようにアタシの胸に置いた手を上から押さえつけた。
 アタシはなんとかアイツの手を振りほどこうともがいてみたが、そう力を入れているようにはみえないのに、ビクとも動けなかった。
「やめてよぉ!離してよぉ!」
 そう叫びながら、アタシは自由に動かせる足をバタつかせて、抵抗しようとした。
そのとき、
「奥さん、すぐ済みますから、お静かに願います」
というドスの利いた初めて聞くアイツの声が、耳元で響いた。

 その声にビビってアタシがひるんだ隙に、アタシの両手・両脚には縄が絡みついて自由が奪われ、身体が持ち上がったかと思うと次の瞬間にはベッドの上に下された。そして息つく暇もなく、手足や身体を縄がまるで生き物のように走り回ったかと思うと、アタシは両手を頭の後ろで重ねて上を向き、大きく拡げさせられた両脚を腰が高く上がるまで前方に強く引っ張られた格好で、まったく身動きが出来ないように拘束されていた。
 そのときのアイツの一連の動作といったら、抵抗することはおろか声を上げる暇も与えないほどの素早さで、その間アタシはただあっけにとられているばかりだった


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