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『快楽と縄』
【SM 官能小説】

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『快楽と縄』-1

1.憎いアイツ

アタシは、アイツが憎くてしょうがない。
アイツは、マゾっ気なんてこれっぽっちもないアタシの真っ裸の身体を、目にもとまらぬほどの速さの鮮やかな縄さばきで、あっという間に縛りあげて拘束してしまう。
そして口惜しいことに、アイツに縛られて拘束されることで、アタシはちょっとした刺激でも感じてしまう快楽人形にされてしまう。
 身動きできないようにきっちり縛られているのに、不思議なことにものすごく性的な快楽に敏感になってしまい、ほんのちょっとした刺激にも反応し昂ぶってしまうのだ。
 
そこまでは、まだ我慢できる。
 アイツが最後までちゃんとアタシをイカせて、快楽をとことん味あわせてくれるならば…だ。

 しかしアイツは、縛りあげて快楽人形にしたところで、アタシから離れてしまう。
 アタシを、蛇の生殺し状態にしたままで…だ。
そしてその生殺し状態のアタシの身体を、舌舐めずりするようにしてやってくるアタシのパトロンであるジイサンが、さわったり舐めたり、刷毛やバイブやその他もろもろの道具も使って、さんざんに嬲りまくるのだ。

 ジイサンは生殺し状態のアタシを弄ぶのが面白くてしょうがないらしく、アタシがさんざんいじられてイキそうになると、アタシをじらすためにいつもそこで刺激を止める。
 当然、イキたくてたまらなくなっているアタシは、
「旦那様、お願いです。イカせてください」
とジイサンに哀願する。

 ところが、ジイサンはすごく意地悪だ。
 その都度アタシに、この上なく屈辱的で恥ずかしいセリフをさらにいわせて、懇願させようとするのだ。
 そして、いわなければいつまでもアタシを生殺しのままにし続けると、脅す。
 それがアタシにとって、とても辛い。
というのは、アイツが現れるまでアタシはジイサンを性的に完全に手玉にとり、愛人にしてもらっているのではなく、愛人になってやっているんだと思っていたからだ。

アイツが現れてからは、それが完全に逆転してしまった。
快楽人形に堕ちてしまったアタシは、ジイサンに思いのまま嬲られ操られ、さんざんじらされたあげくついには、ジイサンが望む屈辱的で恥ずかしいセリフを言ってで懇願させられ、その上でやっとのことでイクことができるのだ。

 屈辱はそれだけではない。
やっとイカせてもらって脱力状態にあるアタシを満足げに見下ろしながら、ジイサンが「済んだ」と声をかけると、隣の部屋に控えていたアイツがやってきて、まったく無表情のまま、手早くアタシの戒めを解くのだ。
それを終えると、クルクルっと鮮やかな手つきでアタシを縛っていた縄を束にし、ジイサンに軽く一礼して部屋を出ていく。

アタシの屈辱的な恥ずかしい言葉でのジイサンへの懇願は、もちろん聞いていたはずだ。
ジイサンに翻弄されたうえで果ててしまったアタシの痴態も、しっかり目にとめているはずだ。
それなのに全く平然と、なんでもないことのように自分の仕事をテキパキと片付けて去っていくアイツが、回を重ねるごとにどんどん憎らしく思えてくる。

……何よ。アタシを女から牝に変えてしまっているくせに、
せめてアタシを牝として見ている素振りくらい見せたらどうなの?……

 そう心の中でつぶやきながらその背中を見送っているアタシを振り返りもせずに、アイツは無言で去っていく。

それにもう一つ、アイツと会うときアタシはいつも真っ裸で隙だらけなのに、アイツの方はいつもビジネススーツを着込んでいて、一部の隙もなく決めこんだ格好だ。
 この格差が、いつもアタシの屈辱感をより高めてしまう。

だから、だからアタシは、アイツが憎い。




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