憎しみと愛、そしてセックス(1)-3
「ありがとうございます、先生・・あの、どんなところでしょう?」
美紗子は、信頼しているこの先生を眩しそうに見つめていった。
その眼は少女のようにキラキラしていて、
謙二郎はその眼を見てドキリとしていた。
謙二郎は口髭を生やした中年の紳士風のではあるが、これが中々の男である。
短歌以外にも、書道をしたり、絵を描いたりと多才で精力的に活動をしているが、
どこかで噂がいつもあり、無類の女好きなのである。
そんなことを美紗子は知らない。
謙二郎は美しい美紗子が入会してからは、
彼女に目を付け、何かと彼女との接触を試みていたのである。
そんな彼に抱かれた女達は少なくなかった。
「そうですね、ではこう言ったのはどうでしょう」
謙二郎は、美紗子を見つめながら考え言った。
(手に取りし 花を愛でし君ならば 恋しと思う 我は狂いて)
「素敵ですね、先生・・でも」
「うん、でも?」
「はい・・私が詠んだこの短歌は、恋の歌ではありませんし」
美紗子はそう言うと、茶目っ気をした眼で謙二郎を見つめた。
「いや、これは私が詠んだ貴女への気持ちですよ」
そういうと謙二郎は、美紗子を力強く抱き寄せた。
(あん、いやん・・ダメよ、先生)
素早くその美紗子の小さな唇を彼は奪っていた。
(あぁ、ダメ、ダメ・・せんせっ・・)
美紗子の口の中に謙二郎の舌が入り込んでくる。
言葉で拒否しながら、美紗子の肉体は彼を拒否していなかった。
冷たくなった夫との愛の冷めていた関係が、
無意識に彼女をその気にさせたのである。
公共の施設の中で、
締め切った部屋の中で二人の大人は妖しい雰囲気になっていた。
謙二郎は美紗子が自分を拒否しないことを知っていた。
女性に目ざとい彼は、美紗子の本質を見抜いていたからである。
キスをして美紗子を抱きながら彼は言った。
「今、思いつきましたよ、美紗子さん」
「あん・・えっ?なに・・何をです?」
「貴女への思いを・・一句ね」
「まぁ・・」
(好きな人 その香しき 白き肌 ピンクの花弁を 我は吸いたし)
「素敵です、でも・・あのその花弁って?」
「貴女のここですよ」
謙二郎はスカートをまさぐり、いきなり美紗子の秘部の上に手をねじ込んだ。
夏物の薄いスカートの上からでも、美紗子の柔らかな部分は分かる。
そして、壁を背にして立っている美紗子のそのスカートのベルトに手を掛け、
器用にそれを脱がしていた。