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憎しみと愛、そしてセックス
【その他 官能小説】

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憎しみと愛、そしてセックス(1)-1

プロローグ


今年の夏は、例年に比べ気温が更に暑くなりそうな気配だった。
何処からか吹いてくる風も生暖かい。
それに空気は湿気を含んでおり、異様に暑いと感じる夏だった。

フェーン現象のせいか、このところの日本列島はどこでも暑いと言う。
テレビでは連日のように、
お天気レポーターが外で汗を拭きながらマイクで言っていた。

「今年の夏は去年に比べて異常に暑くなりますので、
特に、お年寄りやお子様がおられるご家庭では、陽射しを避け
十分に水分を採るなどして、お気を付け下さい」


そんな或る日・・
着物姿の美紗子が部屋の外から庭を見ると、蒼く繁った葉や、
花達はその暑さにぐったりと項垂れているようだった。
(まぁ、可哀想・・あのお花達にも、後で日が陰ったらお水を上げなくては・・)

そう思いながら冷房の利いた部屋で、美紗子は窓越しに自宅の広い庭を眺めていた。
彼女は、手に取った刺繍入りのハンカチで、
額や、少し汗ばんだ細く白い首筋をポンポンと軽く叩きながら拭いていた。
その仕草が何故か色っぽい。

(ふぅ・・今日もお外は暑そうね、子供達は帰りに何処かで涼んでいるかしら)
二人の子供の母親でもある美紗子は、とてもそのようには見えない。

涼しげな薄い青地で、
若葉と蜻蛉がデザインされた粋な友禅浴衣を着こなし、
キリリと帯を締めたその佇まいは絵になっていた。

二人も子供を産んだというのに、まるで少女のように若く見えるのは
彼女が生まれつきのお嬢さんで、苦労知らずのせいかもしれない、
見合いだったが、或る中堅の会社を経営している男性と結婚した。

それは、誰が見ても、
端から見ても申し分のない家庭生活を送っているように見える。

しかし、美紗子の中では贅沢な不満がくすぶっていた。
それはいずれ分かることではあるが、
すでに彼女はその妖しい世界に引き込まれていた。

その密のような甘い火遊びが、後で思わぬことになろうとは、
彼女自身は知るよしもない。
それはまるで真っ白な和紙が、ちょっとの火遊びのつもりが、
始めは薄いピンク色に染まりながら、次第に深紅の血のようになり、
メラメラと情欲の火を燃え上がらすのである。
彼女はその甘美の熱い火の中に燃えて、溺れていくのだろうか。



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