図書室で先生と。-2--2
「橘もコーヒー飲むか?」
「…え…」
「口移しで。」
「…なっ!」
みるみるうちに赤面していく橘。
そんな橘との距離を縮めていく。
コーヒーをひとくち含み、ぐっと一気に間合いを詰めてみせた。
橘の背中が図書室のドアにぶつかり、その音が室内に反響する。
「………ぷ……」
「!!」
「橘、早くツッコんでくれよ…。ぷはっ…冗談だって…」
まぁ、おれ的には割と本気なんだけど。
「せ、先生……!!」
顔を真っ赤にして怒り出す。もう最低、とか先生のばか、とか文句を言いながら図書室に飾ってある花の手入れなどを始める橘。
(あ、そうだ。)
「今日、寄贈書籍が50冊入ってくるから管理タグ貼りヨロシクな〜。」
「ごじゅっ………」
「あ、ついでにパソコンにデータ入力もよろしくっ!」
「………」
はぁ…とため息まじりに飽きれ顔の橘。
おれと橘は少し親しい先生と生徒の関係で、おれは図書室の管理をしていて橘は図書委員の委員長で。
おれの邪な気持ちを除けば、特別なことなんてなかった。
でも、この日の出来事を境に二人の関係が大きく変化することにこの時はまだ知る由も無かった。
――――――
「―――……ん…」
(ん……?)
(………!)
勢い良く起き上がる。
そうだ、放課後少し眠気が差して。
明日の授業の準備も終わって。
図書室では、図書委員が総出で寄贈書籍の管理をしてて。
―――少しだけ、そのつもりで司書室のソファでうたた寝したんだった。
(今何時…1時間は経ってるな…。
学校でマジ寝ってなかなか…ヤバい、よな?)
冷や汗と共に、自嘲する。
ソファから立ち上がって図書室に向かおうとした時。
ハラリと自分の足元にメモが落ち、それを拾い上げる。