-続・咲けよ草花、春爛漫--13
――かちゃ、とベルトを外す音。
俺はというと鈴代の愛撫でイカされてしまった身体を、何とか起こしている最中だ。
「はぁっ……はぁっ……!」
息を荒げる俺の横で、鈴代は下着ごと制服を下ろす。
「!」
俺は思わず青ざめた。鈴代の股間のそれは、既に準備万端、天を突いていた。
「す、ずしろ」
思わず口が回らなくなってしまう。
「や、止めろって……そんな、の……!」
以前自分の股間にもあれと同じものがぶら下がっていたわけだが、悔しいことに奴のものは俺よりもずっとデカい。それが一層の恐怖を煽った。
しかし俺が抵抗するより先に、鈴代は俺を四つん這いにして秘所に亀頭を押しつける。俺の身体がびくりと震えた。
「平気平気、怖がらなくていいよ」
馬鹿じゃねーのか! この状態で怖がらない女がいるか! ……俺は男だけど。
俺の右腕を鈴代が捕まえる。ぬるぬる、と奴の先っぽが俺のそこを擦った。
何というか、それはぶっちゃけていうと俺をひどく昂らせる。
「ミハル、足閉じて。ちょっと力入れてみて」
だからか、そんな鈴代の言葉にも素直に従ってしまう。
すると、だ。
「!!」
鈴代のものが、俺の股の間に入ってくる。
認めたくはないけれど俺の愛液なんだろう、ぬるぬるしたものがまとわりついた鈴代のそれが、俺の股の間を行き来する。
「あ……はっ……!?」
何だこれは。
確かに挿れられているわけではないが、鈴代が腰を打ち付ける感触、音、すべてが本当にセックスしているみたいだ。
気持ち悪いと感じるより先に、俺も興奮してしまう。
「下、見てみ」
「!!」
言われて視線を下にやれば、鈴代のものの頭が俺の股から出たり入ったりするのが見えた。
濡れた音と相まって、それは物凄く卑猥な光景だった。
「エロいだろ? 見て濡れた? さっきより滑りよくなってる」
「んっ、あ……嫌、だ……!」
一度イッた身体は敏感だ。
言葉で責められれば、背筋がぞくりとする。
ぐちゅぐちゅと濡れた音や鈴代の息遣いにまで、不覚にも感じてしまった。
「ん……もう一回、イッてみようか」
「ああっ!」
鈴代の手が陰核に伸びる。こり、とそこを摘まれて、俺は腰を震わせた。軽くイッたせいで、更に身体は敏感になる。
がくがくと俺を揺さぶる鈴代。陰核を刺激され続け、俺の限界は近い。
「やべ、鈴代……俺、もう――!」
「いいよ、イッて――」
耳元で熱い吐息と共に囁かれて、俺は絶頂に達した。
その後、鈴代がイッたかどうかなんて俺にはどうでもいい。
気だるい身体で熱く息を吐く。その時考えていたのはスポーツドリンクがほしい、それだけだった。
いつの間にやら眠ってしまったらしい。
はっと飛び起きれば、鈴代が傍らでにやついていた。
自身の下半身を見てみると、きちんと汗やら体液やらはふき取られていた。しかしそれはかえって俺を苛立たせる。
こいつに後処理してもらったという事実がものすごく悔しい。
というかそれ以前に、だ!
「てっめー、なぁ……!」
「睨むなよ。ちゃんとイケたんだろ?」
「そういう問題じゃないっ!」
冷静になって考えてみれば、結構なことをしてしまったんじゃないか?
股にチ×コを擦りつけられ、イカされて――鈴代相手にあんなに感じて喘いでしまった。
その事実に俺はかっとなる。
「出ていけ、このエロ野郎!」
「お前も感じてたろ? おあいこじゃん?」
「いいから! 出て行け!」
俺はにやにやと笑う鈴代をぐいぐいと空教室の外へと追い出す。
以外にもすんなり出て行った鈴代は、去り際にまた耳元で囁きやがった。
またね、だと!? 二度とねーっつの! ……多分。
「……くっそ……!」
だが、さすがにマズい。これはマズい。
拒もうと思っても、拒みきれなかった。
身体があの快感を知ってしまったからだ。頭では分かっているのに、どうしても拒否できない。
あの快感をもう一度味わいたいと思ってしまっている自分がいるんだ。
マジで鈴代に身体を許してしまう日が、近いうちにくるかもしれない。
俺は汗ばみ乱れた制服を直しながら、自棄気味に壁を叩いた。