ヒロ兄ちゃんとユキ姉ちゃん-5
「当たり前でしょ!!他に誰が払うのよ!!」
ヒロ兄ちゃんも私も唖然としていた。
「仕方ないなぁ....」
ヒロ兄ちゃんはネックレスとぬいぐるみを受け取って、
「これお願いします。」
レジのお姉さんに渡した。お姉さんは品物を袋に入れながら、
「ママとお揃いで良かったね?」
そう話しかけてくれた。
「うん!」
私は笑顔で頷いた。お姉さんは袋をヒロ兄ちゃんに渡した後、
「これどうぞ。」
お菓子を私のほうに差し出した。ヒロ兄ちゃんの顔を見上げると、ヒロ兄ちゃんは笑顔で頷いた。私はお姉さんからお菓子を受け取った。
「美香!ありがとうは!」
ヒロ兄ちゃんの怒ったような声がした。私が驚いて固まっていると、ユキ姉ちゃんがしゃがんで、私の目を見て、
「美香ちゃん、ありがとうとゴメンなさいはちゃんと言わないと駄目でしょう!約束したでしょう!」
笑顔で右手の小指を立ててそう言った。
「お姉さん、ありがとうございます。」
私は慌てそう言って頭を下げた。
「どうも、ありがとうございます。」
ヒロ兄ちゃんはお姉さんにお礼を言った後、
「次からはちゃんと言わないと駄目だよ!」
ヒロ兄ちゃんが私の目を見て言った。
「はぁい!」
「約束だよ!!」
「うん!約束する。」
私はヒロ兄ちゃんと指切りをした。
「すみません。ありがとうございます。」
最後にユキ姉ちゃんが頭を下げた。
(最近の若い親は....って思ってたけど、ちゃんとしている親もいるんだ....まだ二十歳位に見えるのに....)
そんな声が聞こえて来た。売店を出ると、
「ヒロ!!さっきのお金だけど....」
「いいよ!!俺が全部払っておくよ。」
「えっ!本当にいいの?」
「ああ...」
「ありがとう!ヒロ!!大好き!!」
「ったく!調子いいなぁ。最初からそのつもりだったくせに....」
「へへへっ。バレてた?」
ユキ姉ちゃんは舌を出して笑った。
「ユキのそんな顔を見たら断れないよ!!」
ヒロ兄ちゃんが照れくさそうに言った。ユキ姉ちゃんの顔は真っ赤になっていた。
「さぁお昼ご飯にしましょう!」
ユキ姉ちゃんは話題を変える為にお弁当の話を持ち出した。
「そうだね。」
「私お腹ペコペコだよ!!」
私達は、その話題に乗った。
「じゃぁいっぱい食べてね!!」
ユキ姉ちゃんは笑顔で私に話かけた。
「うん!」
ユキ姉ちゃんの言葉に私は大きく頷いた。
私達は水族館を出て、近くの公園の芝生の上でお弁当を広げた。
「さぁどうぞ!!たくさん食べてね!!」
ユキ姉ちゃんが笑顔で言った。
「いただきます!」
ヒロ兄ちゃんがそう言うとおにぎりにかぶりつき、玉子焼きを手でつまんで口に入れた。
「ヒロ!!美香ちゃんが真似したらどうするの!ちゃんとお箸を使って!!」
ユキ姉ちゃんの声に、私はすぐに手を引っ込めた。
「別にいいじゃん!このほうが美味いよ!!」
今度はソーセージをつまんで口に入れた。
「外で食べてるんだから、細かい事は気にしないで....ほら!美香ちゃんも食べな!!」
「うん!」
私はヒロ兄ちゃんの真似をして、ソーセージをつまんで口に入れた。
「美味しい!!」
ユキ姉ちゃんの顔を見て言うと、
「なっ、俺の言った通りだろ!!」
ヒロ兄ちゃんが自慢気に言うと、
「んもう!美香ちゃんが真似しちゃったじゃないの!!」
「いいの!小さい事は気にしないの!!」
ユキ姉ちゃんは少し不満そうだったが、ヒロ兄ちゃんは笑っていた。