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シグナル
【青春 恋愛小説】

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シグナル¨7¨-1

「すまねえな、わざわざ来てもらってよ・・・」
「いや、僕は平気さ。でも速人・・・もう大丈夫なの?」
「ああ、俺も平気だ。3日くらいは水しか飲めなかったがな」

こうしてみかづきで相談するのも久々だな。だが今日は賢司はおらず、成敏と2人だけだ。
あいつは杏子との付き合いがあるだろうし、邪魔はしたくない。
まだ付き合い始めたばっかの時は正直悔しかったが、今では生温かく見守ってるつもりだ。

「織田さんって結構はっきり言う方だけどさ、でもまさかそんな言葉を出すなんてね」
「俺はショックだったぞ。分かるか?カッコ悪いと面と向かって言われる気持ちが」
「分かんないな。全然」

呑気に音をたてながら味噌ラーメンを啜る成敏。
なんだかその上の空的な態度に少しカチーンときて、餃子を奪ってやった。
いくら好きなもんを食ってるからって、友達の不幸をさらりと流すのはいただけないぞ。

「でも、格好は良くないでしょ。とおせんぼするなんて小学生じゃあるまいし」
「お前っ、今日はやけに言いやがるな。普段は聞き役なんじゃないのかよ」
「まあ、そうだけど。でも・・・織田さん、きっとショックだったんじゃないかな。速人の行動を見て、さ」
「そうかな・・・いや、そうかもな。今、弥生の立場で考えてみたが、清々しいくらいに俺が情けなく見えた」

こうしていざ友達に指摘されると潔く自分の非を認めるのが、俺のいいところだ。
開き直り、ともいうか。いや違う、ちゃんと聞き入れてるんだからな。

「こりゃあ、いくら告白したとこで俺になびくわきゃねえか」

我ながら情けない言葉を出しちまった、と思った。
すると成敏が箸を止めてその場に置いた。

「そんなすぐ諦めるなんて速人らしくないよ」

真面目な口調で言い放ち、真っ直ぐ俺を見つめてくる。
こいつ、どこが上の空だ。こんなに真剣に話を聞いてくれてるじゃねえか。

・・・一瞬だが賢司とだぶって見えたぜ。

「諦めちゃいないよ、安心しろ。弥生はちょっと強敵だからな、少しだけ挫けかけただけだ」
「そうだよ、速人なら大丈夫。好きだって気持ちを一生懸命伝えれば、織田さんにはきっと届くから」
「お前・・・今日は何だか頼もしく見えるな。どうした?いつもと違うぞ」
「だって、うじうじする速人なんて見たくないから。まあ、僕が言える事じゃないかもしれないけどね・・・」

ありがとう。
マジでありがとう、成敏。お前は大切な友達だ。

「餃子食うか?」
「それ元々僕のだけど」

気持ちを伝える・・・


・・・俺は、弥生の事がどれくらい好きなんだ?


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