『ツンデレちゃんと硬派くん』-10
李湖は、そのまま黙ってしまった。
脳内で、全身をチェックしているのだ。
昨晩は、突然起きたことだったし…まさか、今晩も、とは思っていなかったから、今更ながら焦る。
毛とか、お肉とか、スタイルとか。
そして最後に、ぼそっと呟いた。
「…オトコはいいよね、大きさが"ランク付け"されてなくてさ」
「ランク付け?」
「そ。
AとかBとか、DとかEとかさ!
オンナはカップで査定されるじゃん。
オトコにも、大きさのランクがあればいいのに」
「…いや、おれらも気にしてるよ?」
「そうだろうけど…
もっと明確に分かればいいのに。
ゴムとかでさ!」
それを聞いた洸太郎。
突然、電撃に打たれたかのように、固まった。
繋いだ手に、ぎゅっと力がこもる。
「…どしたの?」
「…李湖…おれ…」
「?」
「…おれ…」
「??」
「責任取るから!!!」
「???」
李湖は、まったく訳が分からなかったが、自らの発言を思い返して合点がいった。
「…昨日、つけなかったから?…ゴム」
ふふっ、と思わず笑いが漏れた。
「ありがとう、責任取る、なんて。
ふふ、笑うようなコトじゃないのにね、ごめん。
だいじょぶ、だよ。
かなりの確率で安全日だし…
それにね、さっき、…ほら」
李湖も、空いた手でポケットをまさぐる。
取り出したのは、ゴム1個。
「…部屋に戻って、取って来たんだ。
私、姉に持たされてたの、いつ"そういうコト"になるか分かんないから、って。
まさか、ホントに使うことになるとは」