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シグナル
【青春 恋愛小説】

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シグナル¨3¨-3

「どうしたらいいんだよ。俺もうあいつの顔見たくねえぞ、真っ白なノート見せたらいきなり殴りやがって・・・」
「そりゃ、ちゃんとノート取るしかないでしょ」
「答えは決まりきってるだろう。成敏の言うとおりだ」

予想していた。
その通りの答えじゃねえか。
授業を聞くのもつらいが、弥生にまた強く当たられるのはもっとつらい。

だけど・・・そう簡単にはいかねえのよ。俺のハートはガラス製だし、切り替えるのも楽じゃないんだな。

「納得できない、って顔してんな」
「・・・まあな」
「めんどくさいね、速人は」
「ホントだな。お調子モンのくせして変に頑固でよ。勉強嫌いでなんで大学生になったんだ?」
「前もいったろ、ナンパと学食の為だと。あと昼寝」

・・・何を言ってるんだ俺は。
2人とも呆れさせる様な事を口走ってる自分が恐ろしい。
俺には何を言っても受け付けないのかもしれないな。


「怒られるのが嫌なら笑わせてみればいいじゃねえか」
「笑わせろって・・・駄目だよ、冗談が通用しねえ。俺のは笑えなくて嫌いなんだとよ」
「そうじゃねえって。弥生の笑顔が見たいだろ?」

賢司の言いたい事がなんなのか理解できない。
笑顔が見たいだろ、しかし笑わせるんじゃない、こいつは果たして何を伝えようとしてるんだ?

「あのさ、速人。もしかしたらだけど、織田さん、速人が頑張るところを見たら、ちょっとは接し方が変わると思うんだ」

成敏の補足みたいな意見で、ようやく言わんとしている内容が理解できた。
なるほどね・・・そういう考え方、嫌いじゃないな。
ふっ、言うようになったな成敏。お前、高校の時じゃあまり自分から意見を出さなかったのに、俺はなんだかうれしいぜ。

「そう、だな。うん、やってみるか。まだ何もしてなかったな、考えてみたら」

やっぱり、悩んだ時はこいつらに打ち明けてみるもんだ。


俺は翌日から少しずつ、無理しない範囲で努力を始めた。
開始と同時に机に突っ伏すのを止めて、しっかりとシャーペンを握り締めて、先生の話に耳を傾ける。

ふうん・・・意外と理解できるな。
簡単な話じゃないが、まるっきり分からないってわけでもない。
俺はなぜもっと真剣に取り組まなかったんだ。


「ちゃんとやったの?」


終わった直後、弥生が怪訝そうな表情で俺のもとへやってきた。


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