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シグナル
【青春 恋愛小説】

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シグナル¨2¨-3

〜(Kenji's Side)〜

今日はゼミが早く終わってしまった。成敏と速人に電話したらあと2限あるらしい。
こういう日に限ってバイトも無いし、時間をどう潰そうか迷う。
帰ったってただ寝ちまうだけだろうし、どっか行こうかな・・・


「・・・あれ?あいつ・・・」


何気なく1階のホールをぶらついていると、自販機の近くに座っている杏子を見つけた。
テーブルに置いた茶のペットボトルに両手を添えて、外を眺めている。
1人でいるのは初めて見たが、普段からああいう少し変わった持ち方してるのか。


「あっ、賢司くん。やっほー」

ぼーっとしてるのかと思いきや、俺より先に声をかけてきた。
近い距離では無いんだがよく気付いたな・・・

「俺がいるってよく分かったな、お前」
「だって目立つもん。熊さんだから」

こいつはこういう奴だ。
別に悪気が無いのは分かっている。思った事を隠さず口に出してしまうんだ。
それに、今更熊さんなんてもう聞き飽きてる。

「お前、ゼミは無いのか?」
「うん。だから、暇を楽しんでたの」

退屈は楽しむものだったのか。
・・・いかん、真面目に考えたらこいつの電波にやられちまう。適当に流しとけばいいんだ。

「あとの2人はどうした」
「まだゼミあるって。私だけあぶれちゃった」
「じゃあ俺と同じだな・・・」

出来心だった。
ただこのまま帰るのもつまらない、そう思っていただけだった。

「外、いかねーか」
「へ?お外??」

目をぱちぱちさせて俺を見上げる杏子。
まるで小学生みたいな反応に思わず噴き出しそうになった。

「動かないのもいいけど、せっかく時間あるんだしちょっとぶらつこうぜ」
「別にいいよ。じゃあつれてって賢司くん」

ひょこひょこ近付いてくる足取りが妙に可愛く見えた。

でも、手は繋いでこな・・・

いやいや、俺は何を期待してるんだ。こいつは只の友達だ、変な事は考えなくていい。

・・・くそっ、なんか妙にドキドキしやがる。
速人なら慣れてるんだろうな。俺だって、こんな俺だって高校の時に多少は女の子との思い出はあるんだぜ。
でも、胸の高鳴りは消せない。自分は誤魔化せない。



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