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シグナル
【青春 恋愛小説】

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シグナル¨2¨-2

「ねえ成敏、賢司の高校の時のあだ名って何?」
「赤熊だったよね、確か」
「あだ名なんて無かったぞ、しれっとウソ言うな」
「ぴったりじゃん。赤い服着た熊、似合うよはははっ」

あ、笑ってる。
葉川さんはよく笑うけど、あまり織田さんは笑わないから何だか嬉しい。
・・・賢司には悪いと思うけど・・・

「じゃあ成敏くんは?」
「沢庵の尻尾だよな。途中から略してタクシーって呼ばれてた」
「ぷっははは、マジ?初めて聞いたよそんなあだ名」
「ちっ違うよ!賢司こそウソつくなよ!」
「ふふん」

してやったり、という顔をして眉を上げる賢司。
何だか赤熊よりは面白い気がしてちょっと悔しかったり。


「お前らぁぁあ!マブダチを置いてくなんて何のつもりだ!」


そこへ、問題児こと速人がやってきた。
ほっぺには熟睡していた跡がくっきり残っている。

「一応成敏が起こしてやったんだぞ、このど阿呆」
「あたっ!!ウソつけ、まるっきり気付かなかったぜ!」

賢司にデコピンされるのを見て女の子達がけらけら笑っていた。
みんないい笑顔で、特に葉川さんの笑い方に思わずつられてしまう。

「あんた、何しに学校来てんの。もっと真面目に勉強しなよ」
「昼寝とナンパに決まってんだろ。あと飯食いに」
「ふざけてんじゃないっつーの。ったく、後悔しても知らないよ。誰も助けないかんね」
「やれやれ、いつも弥生は俺にきついな。分かりやすいんだよこのツンデレ、半端な覚悟で俺に惚れても辛いだけだぜ?」

なんだか、落ち着く。こうしてると退屈しないし、楽しいな。
1人でいるのは嫌いじゃないけど、やっぱり学校に来てるんだから皆と一緒がいいね。

(・・・あっ)

気が付くとまた妹尾さんを見てる事に気付き、目を逸らした。
別に目が合ったとかじゃないけど、何だかもやもやしてつい見るのを止めてしまったんだ。

(そういえば、妹尾さんってどんな人なんだろう?)

織田さんは気が強くて速人に容赦なくつっこみを入れたりするけど、受け身な僕に話し掛けてくるので、話しやすい人だ。
服装は動きやすいものが好きらしく、カジュアルな感じだ。
でも女の子らしいピンクが好きな、ちょっと変な一面もある。
葉川さんはマイペースでよく笑う。おしゃれするのが好きで、服装は緑のものが多い。
本人いわく森ガールらしいけど、ストールを巻いてたり、ポンチョを羽織ってたりするので、なんとなく森にいそうな感じがする。よく、分からないけど・・・

妹尾さんは、黒を着てる事が多く、自分からはあまり話さないので、控え目な印象だった。
僕だって話す方じゃないけど、高校よりは明るくなったと賢司には言われる。

(もっと妹尾さんの事を知りたいな。どんな食べ物が好きなんだろう?)

何で気になるのか、この時の僕には分からなかった。
ただ他の2人に比べてあまり自分の色というか特徴を出さない様に見えたから、彼女の事を知りたかった、そう思っていた。



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