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Crimson in the Darkness
【ファンタジー 恋愛小説】

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Crimson in the Darkness -決意-W-5

『小娘ッ 貴様ッ!!』





 屈辱的だったんだろう。ヴァンパイアは今までに無いくらい表情を歪ませ、リアナを睨み付けた。





「空を駆ることを貴方たち悪魔だけの特権だとでも言いますか? それこそ有り得ない(・・・・・)」



『ふざけるな!』



「ふざけているのはどちらですか?」





 手に持っていた銃ではなく、槍の切っ先をヴァンパイアの眼前に突き付けると、リアナは冷淡な口振りで問う。……しかし、どんだけレトロなエモノだよ。





「相手の力量を弁えず、ケンカを吹っ掛けるなんておろかでしょ。私は貴方に殺されるほど甘くは無いですよ」



『…………』





 ギリッと下唇を噛み締めながらリアナを激しく睨み付けるヴァンパイア。リアナの背後、月明かりによって彼女の足元から伸びる彼女自身の影がゆっくりと地面から離れ、浮かび上がる。



 そして、それはリアナよりも少し高く空に伸びるとピタリと動きを止めた。それをリアナは睨みつつも身動き一つしない。





「リアナ!」





 伸びた影が鋭利になり、巨大な鉤爪へと変貌した。そして、それがリアナに向かって振り下ろされた。





『なっ―――!!』





 片手で、いや、素手でそれを受け止めるリアナの姿にヴァンパイアは瞠目した。リアナが触れた部分から影の爪が霧散していく。




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