Crimson in the Darkness -決意-V-5
「何が言いたい!」
「クダラナイと言ってるんです。ツマラナイ意地で大切なものを守るために傷付けて、それで相手が守れるなんて思うこと自体、傲(おご)り以外の何物でもない」
「っ お前に何が解るっ!!」
傲り―――オレの独り善がりだってこと。ンなコト言われなくても解ってんだよ。
「貴方の気持ちは解りかねますが、あの子の気持ちなら少しは解ります。―――どれだけ痛いか知らないでしょ? 大切な人から“化け物”と呼ばれ、存在を否定される(嫌われる)ことが、息が出来なくなるくらい苦しくて哀しいって知ってますか?」
「…………」
僅かに苦しそうに眉を寄せ、そう言ってきたリアナは多分…………ソレを経験しているんだ。
「それがあの子の為だからと……それが正しいことだと思わないことです。まあ、リーちゃんの覚悟は貴方のモノよりも強固で真っ直ぐですから、それも微妙なトコロではありますが」
「あいつの、覚悟……」
「…………あの子の母親のコト、話したでしょう?」
一週間前に聞いた。少しだけだったけど。
リーのたった一人の肉親、ヴァンパイアに殺されたと、それだけ聞いた。リアナの体調もまだ全快じゃなかったから、それくらいしか聞けなかった。
「ああ……元聖職者だって」
「聖職者が“悪魔”との間に子を為すと言うことはどう言うことか解りますか?」
悲しそうな表情を浮かべたリアナは問う。