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Crimson in the Darkness
【ファンタジー 恋愛小説】

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Crimson in the Darkness -決意-V-6

「…………背徳……」



「その通りです。神を冒涜し、汚れた女。堕胎することも赦されず、罵られ、詰られ、祖国から追放された。国から離れた土地で子供を産み、息を潜めるように暮らしていた。だけど、リーちゃんが10歳になる頃、ヴァンパイアとの接触でダンピールとしての能力が明るみとなり、住んでいた街も追われた。それから暫くの後、あの子の中でヴァンパイアが目覚めた」



「…………」





 この前みたいにか。きっと、あんな苦しみは一度や二度じゃなかったはずだよな……。





「だからと言って、血を与える訳にはいかなくて…………だけど、吸血衝動は人間で言う空腹を満たすためのもの。なにか代わりがあるわけじゃない」



「母親は何をしたんだ?」





 緑色の瞳が苦し気に細められた。





「“力”で抑えた。元とは言え、聖職者。悪魔封じを知ってたのでしょうね」



「悪魔封じ……。あれは高等魔法だろ。一介の聖職者には出来ない筈じゃ」





 ……無茶苦茶……だ。元々悪魔封じは両刃のつるぎだと、ヒューイがこの前言ってたな。





「そうです。だから、失敗した。彼女の中のヴァンパイアを封じたものの、反動があった」



「反動?」



「母親の精神汚染」





 …………守ろうとして、母親自身が傷付いたのか。



 ヴァンパイアとの戦いの中、あいつが必死になってオレから離れようとしなかったのはそのせいか。




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