Crimson in the Darkness -決意-U-5
「それなら良かった。……何であんたは反対を?」
リーは認められないのか。救いを求めることも、救われることも。そう思うと自然と手を握りしめていた。
「勘違いするな。教会はあの娘を保護することを最優先事項としてる。反対したのは俺の個人的な意見だ」
それはそれで、どうなんだ。
「だから、リアナは俺を遣いに出した。知っていたんだ、あいつは。今晩、あの娘が覚醒する可能性があること。そうなれば、あの娘を助けようとするリアナを俺が止めることも解っていた」
だから、リアナは一人で家に訪れて、ヒューイをリーに会わせなかったと言うのか? でも、それなら……。
「あの女……リーを助けるか、オレに選ばせたぞ」
「……確認したんだろうな、お前がどう思ってるのか。これからどうするか、決めるためにお前の言葉を引き出そうとしたんだ。どんな答えでも助けてただろう。……アイツもお前も……甘いんだ」
いや、でも、そうだとしても、リーに銃を向けたのはやり過ぎだろうが。それのどこが甘いんだよ。納得いかねぇ。
「何であんたはリーを助けることを反対したんだよ?」
「…………何でお前はあの娘を助けたいと思った?」
オレの質問には答えない気なのか、ヒューイは言い終わるとオレから視線を外すと再び聖母像に向ける。
つーか、『何で』だ。
あの女が言ってた様に悪魔は赦せない。オレから“全て”を奪ったんだ。何もかも、壊しやがった。なのに何で、オレはリーを『助けたい』って思った?薄々気付いてたのに何で問い詰めもせず、普通に……。