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『武骨くんと鎖骨ちゃん』
【フェチ/マニア 官能小説】

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『武骨くんと鎖骨ちゃん』-5

大広間の宴会は、日付が変わる直前に「解散!」となった。

眠りこけているものは叩き起こされ、階上の部屋で寝ろ、と促されている。
まだまだ議論し足りないらしい一団は、粘り強く座ったままだ。

それらの間を、李湖はゴミ袋を持ってまわり、片付けに徹していた。
眠くはなかったが、正直、宴会の場に疲れてしまっていた。
最後の数人を広間から追い出し、部屋に向かう。
しかし―…

「にゃははは、せんぱいったらぁ〜」

「まだ寝かせねーぞ、サナちゃん」

「サナ先輩、まだ飲みましょうよ〜!」

…李湖の部屋は、サナを中心とした賑やかな一団に占拠されていた。
その部屋は、マネージャーの女子2人に割り当てられたものだったが、これでは入りづらかった。

扉の前で、どうしようかと躊躇する。

「橋島?どした?」

「あ、小沢くん…」

後ろから声をかけてきたのは、洸太郎だった。
両手で重そうにクーラーボックスを持っている。
どうやら、残りの酒を取って来たため、最後に階段を上がってきたらしい。

「…あぁ、部屋、入れないのか?」

サナを中心とした盛り上がりを聞いて、察したようだ。

「ちょっと待ってな」

と言うと、
その隣の部屋を覗き、更にその隣の部屋を覗き、やっと一番奥の部屋に入って行った。
両手がふさがっているので、どの扉も脚で開くのが、器用な洸太郎らしくて可笑しい。
…と、すぐに彼は手ぶらで出てきた。

「この部屋と、この部屋は、」

と、李湖の部屋の隣と、隣の隣の部屋を指差す。

「イビキがヒドイ奴と、
めっちゃ酒臭い奴が寝てる。
んで、一番奥は、」

と、最後に出てきた部屋を、ぐい、と親指で示した。

「コーチ含め5人くらいが、飲み直すって言ってる。
まだ話し足りないみたいだ。」

…困った。
どの部屋も、李湖にはあまり入りたいと思えない。
いっそ、さっきの大広間か、宿のロビーにあるソファで寝るか…と思った時だった。

「橋島…良かったら、少し外、歩かない?」

落ち着いた声で、すっと出された提案に、李湖は迷う間も無く、頷いていた。
もちろん、洸太郎の方は、ドキドキしながら言ってみたのだけれど。


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