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Crimson in the Darkness
【ファンタジー 恋愛小説】

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Crimson in the Darkness -出遭-X-4

「はい。そうです」





 振り向きもせずリアナは答える。手には何も持たず、丸腰のままだ。



 後ろから彼女の顎に手を掛け、耳元でいやらしく囁く。





『女の聖職者の血は格別だと聞く。お前の血、一滴残らず吸い尽くしてやろうか』



「それはまた、痛そうですから辞退したいところです」





 ニコニコと笑って、リアナは軽く受け流す。そのヨユーっぷりはどこから来るんだ。



 オレもリーも動くことすら出来ない。やりとりは別として、リアナとヴァンパイアの間には緊迫した殺気しか感じ取れない所為だ。



 次いで、ヴァンパイアが笑いを零し、もう片方の手で彼女の首に手を掛けた。





『そうか。…………ならば』





 首から胸、そして腹へと撫でるように手を這い下ろし、グッと下腹部を掴むように爪を立てる。





『孕ましてやろうか? 聖職者が闇の仔を授かったら、お前たちの崇める神が嘆くか。それもまた一興だな』



「…………それも遠慮します。怒られちゃうんで」





 ハァと大きな溜息を吐くと、顎に掛かったままのヴァンパイアの手首を掴みとる。そんなことなど気にも留めず、赤い目を細めて話掛けると、ほんの一瞬、リアナの口から息を吐く音が聞こえた。





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