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夏の日の帰り道
【青春 恋愛小説】

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夏の日の帰り道-5

*――*

 次の日曜、私達は渋谷の○十に来ていた。
 電車で一時間。定期が使えるのは途中の駅までで往復で五百四十円の出費は痛い。
 それと、なんとなくなんだけど、お店に向かうにつれてだんだん若い子が増えてくるのよね。しかも私みたいな野暮ったい子じゃなくて、なんていうか、その、オシャレ系? な子たち。
 清純そうな子はしろと黒のモノトーンからのストレートヘア。
 ギャル系な子は茶髪をカールさせてカウボーイハット? を被ってるの。
 そういう目立つ子以外にもライバルは多い。
 っていうか、皆買い物をした様子はないんだけど、どうして買い物袋だけは持ってるの?
 なんかずるいんだけど……。
「んで? なんで俺まで?」
 私の隣では、良太がぶつくさ文句言ってるけど、何を言ってるんだか。高校の夏休みにそれなりに可愛い女の子と一緒に歩けるなんて感謝してもらいたいわ。
「だって、一人だと心細いんだもん」
「それなら頼子ちゃん呼べばいいじゃん」
「それじゃあ頼子が引き立て役になってかわいそうじゃん」
「普通言い切るか?」
「だってだって」
「まったく……。てか、ライバル多くね?」
「うん。多い」
 例のゲリラ撮影会の指定のお店の前にはずらりと女子高生の列。鈍い良太でも気付くくらいだ。
 でも問題なのはあのページはたった一ページ。こんな競争率だとは思わなかった。
 ちなみに、今日のファッションはこの前のアブ・ソリュート? だっけかの表紙の子を真似たというか、劣化させたもの。
 タンクトップに薄手のパーカー、ネックレスつけて、短パンはいて。
 結局真似できたのは元気な感じだけなんだ……。
「はぁ……、かえろっか……」
「え?」
「だって無理だもん。っていうか、良太もそう思うでしょ」
「ん、まぁ、しょうがないんじゃない……ぐはぁ!」
 正直に答えてくれたお礼に、私の胸中もしっかり伝えてあげた。
「んでもなぁ……」
 わき腹を押さえながら、なんかぐずつく良太。
「せっかくだし、お店に入ったら?」
「うぅ、お金ない……」
「見るだけならただ」
 そういうと、良太は私の手を引いて店内へと引っ張っていった。
 まいったな。
 これじゃあデートみたいだ。
 暇だし、まぁいいか……。

*――*

 店を出る頃、なんかお店の前に人だかりができていた。
 多分撮影会が始まったんだと思う。
 でも、かなりの数だし、かなり気合入れてる子でもなんか袖にされちゃってるところみると、やっぱ不戦敗でよかったと思う。
 それに、良太には私の手を引っ張った罰として夏もののワンピースを買わせたし。
 ただ、なんか嬉々として払っているところ見ると、気持ち悪かったなぁ。
 しょうがないから今度きてあげるけど、でもちょっと違うっていうか、勘違いしないでもらいたいな。


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