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〈価値観〉
【鬼畜 官能小説】

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〈価値観〉-5

「…はあ?ちゃんと聞いて来いよ!…ったく……ホンットに使えない……」


いつものように罵り、怒ったように薄暗い林道へ駆けて行った……修二は辺りを見回した……人影は何処にも無く、おまけにこの林道は、校舎の中からは完全な死角になっている……修二は深呼吸し、富代を飲み込んだ林道へと入っていった。

林道に落ちた雑木の葉や枝は、その地面の湿り気で腐敗し、ふわふわとした弾力を持つ。
修二の足音は、柔らかな腐葉土に吸い込まれ、そして木々のざわめきが、その微かな音すら揉み消した。
滑るように駆け、大木に身を隠しながら近付いていく。
この林道は、修二の味方に回った………。

またも富代はうろうろし、孝太郎の姿を捜している……T字路の傍には、倒木を短く切った丸太が積まれており、そこは林の中からも死角となる……富代はそこに孝太郎がいると思ったのか、自ら死角へと足を踏み入れた。


「……コータ?」


鈴の鳴るような声色を作り、可愛らしく首を傾げて覗いたそこには、老婆達が乗る、荷台の大きな三輪自転車と、毛布とロープが置かれていた。


『あは…あはは……』

「ぎゃう!?んぎぎぎ…………」


今度こそ孝太郎だと思って振り向いた富代の瞳に映ったのは、目を剥いた修二の顔と、青白い閃光……手に持たれた黒い物体は、バチバチと笑いながら首筋に噛み付き、凄まじい激痛と共に全身の力を奪っていく……………………



『ウヘヘ…へへ……や、やったぞ!!』


時折、ビクビクと痙攣する以外、死んだように動かない富代に唇を重ね、顎を掴んで口を開けさせ、口内を舐め回し、唾を流し込んだ。
そして、布切れを口内に押し込んで口をタオルで縛り、身体を畳んで麻縄で縛り上げ、毛布で包んで荷台へと乗せた。


『これでイイな、もう少し暗くなったら運ぶか?』


生温い風は強さを増していき、ポツリと雨が降り始めた。
雨の林道に、勿論人影など無い……富代は天にも見放された。


「ぐも"………」


またも閃光……修二は念の為に、もう一度スタンガンを使った。
富代の身体がビクリと跳ね、軽くフルフルと震えて、そして止まった。

もう辺りは充分に暗くなり、人目を気にしなくてもよくなった。
ザワザワと騒ぐ雑木達が、自転車のチェーンの音を隠し、暗闇が修二を包み隠す。
荷台に大きな荷物を乗せ、息を切らせて薄笑いを浮かべ、一心不乱にペダルを漕ぐこの異常な姿は、誰の目にも止まらなかった……雑木林を抜け、急な坂の砂利道を上り……遂に〈運搬〉は終了した。


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