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〈価値観〉
【鬼畜 官能小説】

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〈価値観〉-4

「ハアッ…ハアッ……間に合ったぁ」


息を切らせた富代が教室に飛び込み、そそくさと席に着いた。
修二は斜め後ろの席から、その姿を眺めた。
少し汗ばみ、赤らめた顔に張り付いた髪をかき上げ、半分程口を開いて苦しげな吐息を漏らす様に、修二は一人興奮していた。


修二(へ……ムカつく顔しやがって……やっぱり今日ヤるか!ネットにも今日って書いたし……)


まるで発情したような富代の横顔に、沸々と沸き上がる感情を抑え付けるので精一杯であった。
授業も上の空で、願望を現実にするかの思案を重ねていた。
淡々と授業は進み、日課の全てが終了した………。




放課後の下足置場。
珍しく富代は一人だった。
ペチャクチャと騒がしい友達は姿が見えず、他の生徒の姿も殆ど無い。
この状況が、修二に“禁断”へのスイッチを押させた。


『か、鎌田さん。孝太郎が用具倉庫の裏で待ってるって』


やはり修二は抑え切れなかった……ネットの友人達は、修二の願望を支持するばかりだった。

『許せない!』
『そんな女は罰しろ!』
『君は全然悪くない』


無責任な言葉を並べ、反社会的な妄想を肯定するばかり……それは犯罪だという冷静な判断すら、修二には出来なくなっていた。


「………フン!」


汚い物でも見るかのように横目で睨みつけ、そして富代は鞄を抱えて駆けていった。
修二もまた、小走りで後をつけた。


「コータ?どこ?」


相も変わらず富代は、可愛い声を出して孝太郎を捜している……そこには居るはずも無いのだ……先輩に呼び出され、今頃は球場裏で隠れてタバコでも吸ってるだろう。
先輩のパシリで孝太郎を呼んだのは修二だった。
弱い自分の立場が、こんな所で役立つとは夢にも思わず、修二の顔は久々に緩んだ。



『かま、鎌田さん、孝太郎は向こうのT字路になってるトコで待ってるって』


突然の声に振り向いた顔は満面の笑みであったが、修二と分かると、その表情は豹変した。
笑みなのは修二の方だった。
ここまでは上手くいっている……後少しだ。興奮状態で話した為、声は上擦り早口になっていたが、それすら気付かず、“決めていた”雑木林の中に続く林道を指差した。


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