Crimson in the Darkness -来臨-T-2
「違う。剃る暇が無かったんだよ。どっかの誰かに寝床占領されて、ちゃんと寝れてないからな。ずっと寝不足で疲れてんだよ」
そこで漸く気付いたらしい。
リーは不貞腐れたように唇を突き出した。
「だったら、言えばいいじゃん。おれがソファで寝るよ」
「バーカ。メシ食うのも風呂入るのもソファのあるリビング通るんだぞ。寝てるヤツに気遣って生活なんか出来るか。帰ってきた後くらいはのんびりさせろ」
疲れて帰ってきて、気ィなんか使ってられるか。バーカ。
「でも、おれの、せいじゃん」
また、そうやって泣きそうな顔になる。だから、ソレやめろって。
「ガキが何気にしてんだ。お前は寝てりゃいいんだよ」
「…………、じゃあ、一緒に寝ればいいんじゃないのか?」
「はあ?」
『どうだ? いい案だろ?』と言って、リーが踏ん反り返って提案してきた。…………馬鹿、決定だな。コイツ。
で、シエルはシエルで腹抱えて、笑い転げてる。
しばらくすると、満足したように荒い呼吸をしながら、オレを指差した。
「いやいや、止めといたほうがいいよ? リーちゃん」
「何で?」
リーは首を傾げて、シエルを見た。