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【片思い 恋愛小説】

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春2.5-4

「食堂で食べたら?」
「いや、ここがいいです」
「食堂のが安上がりじゃない」
「睦月さんこそ、食堂で食べればいいじゃないですか」
「あたしは一人が好きなの」
「えー、そうなんすか?」

嫌味を言ったつもりなんだけどな。
この鈍感男。

「もしかして俺の経済状況の心配してくれてるんですか?」
「…」

なわけないし!
ていうか、ポジティブ!
この性格、人懐っこい仕草、こいつは愛されて育ったに違いない。
自分を作らなくても、ありのままでいるだけで周りに好かれる、あたしの一番苦手なタイプだ。


こいつは春を好きだと言う。
あたしは一度も思った事ない。

こいつは出会いを前向きに受け止める。
あたしはそれ自体がめんどくさい。

こいつはあたしを好きだと言う。毎日毎日飽きもせず。


あたしはあたしが嫌いなのに。


信用できない。
信用したくない。
信用しちゃいけない。

人間はすぐウソを吐く。
その時さえ良ければ済むように、口から出任せばかり言う。
こいつもそうに決まってる。
だからいつでも冷たくして適当にあしらうのに、何で懲りないんだろう。
何であたしを嫌いにならないんだろう。
何で――

「じゃあ睦月さん、また明日!」


何で明日が楽しみになるんだろう…




次の日も良い天気だった。
屋上日和。
ポカポカして空気が柔らかくて、それで…

「…」

屋上のドアが開くのをそわそわしながら待つ自分がいた。

…遅いな。
昨日また明日って言ってたのに。

別に永沢を待ってるんじゃない。
ただいつも来る奴が来ないからどうしたのかなって気になってるだけ。

ただそれだけだ。
ただそれだけ―――


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