好きなアイツは会長さん!〜金峰学園生徒会議事録1〜-3
「お姉ちゃん、今日は対戦ゲームでもしない?」
「お、いいな!格闘ゲーにするか?」
「千秋さん…さっき言っていた事って…」
「全部本当のことよ?私が嘘の話題を持ちかけるような人間に見える?」
皆の間でちょっとした雑談をしながら生徒会室を出ようとしたとき、ふと、ある事に気がついた。
小春だけが、帰る支度をしていなかったのだ。
「小春、どうしたんだ?」と、俺が尋ねると、小春は笑顔で「あたし、用事があるから。皆は先に帰ってて。」
―ちょっとした用事なら、待ってるけど、と言いかけて、俺は口を噤んだ。俺だけじゃない、千秋さんも、夏樹も、冬香ちゃんも、何となく分かっていた。小春は、俺たちに迷惑をかけ無いように、と、気を遣っているということ。そして、用事について深く追求しないのが、俺たちなりの気遣いなのだ、ということも。
こういうときは、早めに退散するのがいいだろう。
「ん、分かった。じゃあ、また明日なー。」
「ハルちゃん、くれぐれも、無理はしちゃだめよ?」
「小春、まったなぁー!」
「さよならぁー。」
各々、小春に一声かけて、生徒会室を出た。
今日は、他のメンバーとの会話がほとんどで、小春とはあまり話せていない。明日こそは、絶対進展させてみせる!
…家路へと急ぐ間、そんなことを考えていた、俺なのであった。