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好きなアイツは会長さん!〜金峰学園生徒会議事録1〜
【コメディ 恋愛小説】

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好きなアイツは会長さん!〜金峰学園生徒会議事録1〜-2

 「そういえば、後の2人も遅いですね、今日は。」と、2つの空席を眺めていると、小春が一言。
「なんか、夏樹はバスケ部の助っ人に出てくるから遅くなるんだって。…冬香ちゃんはどうなのか分かんないけど。気にしなくてもそのうち来るだろうから、あたしらは駄弁って待ってたらいいんじゃない?」
 それもそうか。あの二人が遅れてくるのは、今に始まった話じゃないわけだし。
でも、それより気掛かりなのは… 
「ていうか、俺らさっきから駄弁ってばかりですけど、今日は何か議題みたいのってないんですか?」
千秋さんはふわりと微笑んで、こう返す。「別に、いいんじゃないかしら。今月はこれといったイベントも控えてないし…」と、ここで。
 再びガラガラと戸が開き、「おっくれましたぁー」という声と、「す、すいませんっ」
という声して、二人の人物が入ってきた。
 対照的な態度で室内に入ってきた二人の人物。
まず始めに入ってきたのが、双羽夏樹(ふたばなつき)。俺と小春の同級生で、幼馴染。
茶色がかったセミロング位ある髪の毛をツインテールにしている、これまた小春や千秋さんに引けを取らないほどの美少女。運動神経が良く、ボーイッシュな性格…というか、「漢」と書いて「おとこ」と読めるほどの
熱血少女。その性格からか男性人気もさることながら、女子からの人気度も高い。
だが、俺と同じく副会長ということもあり、しかも幼馴染ときたため、すぐに俺と敵対する傾向にあるようだ。
 次に入ってきたのが、夏樹の妹の双羽冬香(ふたばふゆか)。高等部の1年生。こちらは夏樹とは正反対の性格で、夏樹に元気をほとんど吸い取られて生まれてきたような、はかなげな美少女だ。色素の薄いストレートヘアーにちょこんとのせたピンク色のリボンと白い肌、そして自分のことを「冬香」と呼んじゃう所もまたかわいい。
で、そんな冬香ちゃんのことを、みんな「ちゃん」付けで呼んでいる。
「さん」付けや呼び捨てがしっくり来ないからなのだが、夏樹が「冬香」と呼び捨てにしても違和感が無いのが不思議だ。
 「すいません、遅くなっちゃって…」と平謝りの真冬ちゃんに、千秋さんが答えた。
「いいのよ、特にやることも無くて、雑談してただけだから。」
 で、ここから雑談再開。
「あ、そうなんですか。それより、会長さん、部活には行かなくていいんですか?」
「うん。この間原稿を提出して来たから、今日は特に部活に行かなくてもいいの。」
「今度の原稿には何を盛り込んだんだ?バトルモノか?いや…スポ根か?」
「夏樹…少年漫画じゃねーんだぞ…」
「何だよ、颯。じゃあ、お前はどんなジャンルを期待してんだよ?」
「あ、それは気になるかも。ねぇ、ちょっと教えてよ。」
「…恋愛モノ…」
「?」
「なんでもねぇよっ!」
おぉ…っふ。思わず口走るとこだった。あぶねー、あぶねー。
「そういえば、千秋さんは?興味のあるジャンルとか、ありますか?」
「そうねぇ…」千秋さんはふっと微笑んで、一言こう呟いた。

 「SとMについて描かれたものなんかがいいわね。」
「何なんですか、それ!」
「Sっ気を持った女子高生が、Mな中年親父にひたすらS行為を行っていくという…」
「なんかそれは書かせちゃいけない気がしてきましたよ!」
「私自身が今まで行ってきたS行為も書き綴ってもらいたかったのに…」
「千秋さん、Sだったんですかっ!」
 なんか、生徒会室の空気が若干冷めていく気がしたので、何か別の話題に持ちかけようとしたとき。
放送がかかった。『部活動終了の時刻です。延長部活やその他の用事の無い生徒は―』
 「あら、そろそろ帰らなくちゃいけないみたいね。」
千秋さんがおもむろに鞄を出してきたので、俺たちも帰る支度をすることにした。


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