春-4
「…」
ほんの一分前の出来事が、夢だったんじゃないかと思えるくらい現実味がない。
あの睦月さんとあんな風に会話をして――
『うん、いいよ』
人と付き合うのに、あんな軽い返事をするわけがない。
最初からかわれてたのか?
俺もからかってると思われてるのか?
俺は本気なのに…
春が好き。
暖かいから。
景色が明るくなるから。
出会いの季節だから。
うん、ただの出会いでは終わらせない。
飲みかけのお茶を一気に口の中へ流し込んで、俺も屋上を後にした。
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