いけないあそび-4
「どこ行くの?」
呼び止められ、ぎくりと身体を強張らせる。
灰田を呼んだのは、級友の蓮多(レンダ)だった。
「レンダ」
「お前、掃除当番じゃないの? 箒と雑巾、どっちにするかジャンケンしようぜ」
しまった、というふうに灰田は顔を顰めた。
志久野につかまる前に、本当に放課後、彼に付き合うかどうか考えておきたかったが――
「レンダ。悪いけど、カクタかボウズに当番変わってくれって、頼んでくれないか?」
灰田は手を合わせて頭を下げる。
「別に、いいよ」
蓮多はいつも角田と茅逗(ボウズ)とつるんでいる。角田達はおそらく掃除当番である蓮多に合わせて下校するのだろう。ほんの三十分程度とはいえ二人を待たせるよりは、灰田に貸しひとつで当番を変わってもらった方がよいと踏んで、彼は灰田の申し出に快く応じた。
「ただし、奴等一日分の昼飯を要求してくるだろうけど」
「う……ま、まあ、仕方ないか」
肩を竦める蓮多に対し、灰田は思わず言葉を詰まらせたが、頷いて言った。
「それじゃあ、頼んだぞ」
そう残して走って行く灰田の背を見送りながら、蓮多は僅かに首を傾げた。