L＆R −出会いそして依頼その１−-10
やばい！今のアルの剣じゃ防ぎきれない！
そう思った瞬間には『ブラディーボ』はアルに向かって飛び掛っていた。
ジュバッ！
アル・・・！！
思わず目を閉じたあたしが次に見た光景は意外なものだった。なんと『ブラディーボ』の前足が転がっていたのだ。
一体誰が。そう思ってアルを見やると息を切らしながらも立っている。
その手には光る刀身を持った剣が握られていた。
あれは一体・・・
「今だエル！」
アルの言葉で我に返り今しがた完成したばかりの呪文を放つ！
「ウィンドスピア！！！」
目視できるほどに大気を圧縮して作り出した風の槍が『ブラディーボ』めがけて飛んでいきその眉間に突き刺さる！
・・・が！
そこまでだった。大気の槍は『ブラディーボ』の額を貫通することなく砕け散る。
「ルオオオオォォォ！！」
前足を切られ槍を突き刺され怒りに狂ってこっちを見る『ブラディーボ』。
「まずい！エル、逃げるんだぁ！」
もう呪文を唱える時間もない。
しかしあたしは背を向けず『ブラディーボ』を見やり魔法言語（マジックワード）を解き放つ！
「ウィンドスピア！！」
再び生まれた大気の槍は先ほどとまったく同じ額の部分に突き刺さる。
「ッッ・・・・！」
ずずんっ・・
断末魔の悲鳴すら上げずに崩れ落ちる『ブラディーボ』
「エル、やったのか・・・？」
「ええ、やったわ。」
「そうかぁ〜！！やったぁ！俺は生きてる、生きてるぞー！！」
まったく飛び跳ねて喜ぶなんて子どもみたいなことを。
でも、さっきの戦いはそのくらいやばかった。
「あ、そういえばさっきの魔法は一体何だったんだ？２発目のやつは呪文唱えてなかったろ。」
「あぁ、あれね。実は１発目出した時点で２発目も完成してたのよ。１発目の呪文に手を加えて詠唱時間を長くして２発目の詠唱を破棄したってわけ。多分１発じゃあの硬い皮膚は貫通しないと思ってね。」
「むぅ・・・要するにお前は頑張ったんだな！」
「・・・・もういいわ・・・・」
戦闘が終わったとたんとことんボケてるし。
「アル、そういうあんたこそさっきの光ってた剣はなんなのよ？？」
「ん？あぁ、あれか。あれは闘気剣（オーラブレード）っていってな、自分の闘気みたいなもんを外に出して
剣として使うんだ。」
「へ〜あんたも大したもんね・・・・・ってそうなら最初っから使いなさいよ！？」
「すまんすまん！あれってやると疲れるからあんまり使わないんだが、あんまりにも使わなすぎて忘れてたんだよ！」
ピクっ！！
「・・・この・・・・大ぼけがぁぁぁぁ！！！！！！」
かくしてあたしのコークスクリューブローが炸裂したのだった。
さて、魔物も倒したしこれでめでたしめでたし・・・・・ん？・・・・なぁ〜んか忘れてるような・・・・
「あの〜、エルさん、もう終わりました？」
「あぁ！！そうだ！キャロトさんを忘れてた！」
「わ、忘れてたんですかぁ？！ひどいです・・。」
しまった、心の声を外に出してしまった。
「ま、まぁそれは置いといて！！あいつも倒したことだしさっさとチャネリウム爆弾とりだすわよ！」
「は、はいぃ！」
そうして『ブラディーボ』のお腹を切り裂き・・・・そこはいっか。思い出すだけで吐き気が・・・。
とにかくあたしたちは無事チャネリウム爆弾を回収しジンジャータウンに戻ったのだ。