初恋はインパクトとともに ♯4/ステップアップハートビィト-6
「あ〜すまん。」
「いや、別に…というか俺のほうこそ何ていうか〜サンキュー…ありがとな。」
「え?」
「いやその…膝を貸してくれてさ。」
アカネの照れてる顔というのはこれまた何というか…愛らしい?んだ…愛らしいって言っても、ほら、猫とか犬がさあ!何?そんな表現はいらないって?
うむぅ…認めるよ。私はアカネのそのあの…
「アキラ、どしたの?」
「いや、だから私は!」
『ヴィィ〜〜』
けたたましいブザー音のお陰で我に返ることができた。
このままブザーが鳴らなければ、私はとんでもないことを口走っていたのではないか?
「血は止まったか?その…もうすぐ試合が始まるんだ。」
私はまたもや無意識にアカネの頭を撫でていた…
「うん、もう大丈夫みたいだ。」
目線を上げた彼と、膝枕をして始めて視線があった…
視線が交差すると、何かが溶け合うような絡み合うような感じがして、ひどく心臓が高鳴った…何か胸のあたりがちくちくした…
(アカネももしかしたら私と同じ感じなんだろうか?)
そんなことを知ってか知らずか…アカネは照れ笑いを浮かべながら頭を上げた。
「ふあぁ〜」
アカネは立ち上がると、体中を伸ばし首をグキグキ鳴らしている。
「おいおい、無茶したらまた…」
「つつつっ〜!」
案の定やりすぎたらしい…頭を抱えてしゃがみ込んでしまった。
「ったく、バカかおまえは…」
「うるせ〜一回戦で負けるような奴は飯抜きだからな?」
「ふん…望むところだ。優勝すれば満足か?」
自分なりに不敵な笑みを演出してみた。
「おう。優勝したら今度はもっと凄い弁当を作ってきてやる。」
何か…無性に、もの凄く嬉しかった…
「…ならば是が非でも優勝せねばな。」
彼は屈託の無い笑みを浮かべていた…
が…
「初心忘れるべからず…猿も木から落ちる…弘法にも筆の誤り…アキラも……」
「一言も二言も余計だ!」