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Friends
【青春 恋愛小説】

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Friends-2

んで現在。

「まぁまぁ二人とも喧嘩はやめなって、ほらっあっちの選手も見てるんだからさ」
菅谷が俺と聖の間に入り場を静める。こいつはまだ半年の付き合いだがすっげぇ大人びた雰囲気を醸し出している。
 ちなみにこいつも一年でキャッチャーのレギュラーだったりする。
「なっ、省吾(しょうご)落ち着けって」
菅谷は俺の背中をぽんぽんと叩く。
「はぁ〜わかった。わかった。おいっ! 聖、今度はエラーすんなよ!」
「ふんっ!」
聖はそっぽを向いた。本当こいつは可愛くねぇなぁ〜ったく。
ピッチャーマウンドに戻る。
「ストライクッ」
 一球目、二球目と簡単にストライク簡単に2ストライクになる。
菅谷のサインを見る…
「プレイ」
 グローブの中でボールの握りを変える。ったくこんな奴に、変化球かよ。菅谷の考えがわからん。
「ふっ!」
俺は振りかぶり、全力でボールを投げる。
ボールはど真ん中にストレート同じスピードでバッターへ向かってゆく。
 バッターは失投だと思って大振りで振ってきた。
はっ!馬鹿め!
ボールはバットに当たる前に左に曲がる。しかも半端ない曲がりだ。
 そうこれが俺のエースになるきっかけになった変化球。
 その名も――
「KOスライダー(かっこいい俺様のスライダー)じゃこら! ちゃんと捕れよ。菅谷!」
ボールは左に曲がり、最後には菅谷が横っ飛びしないと捕れない所まで曲がった。
「しゃあこらっ!」
菅谷が叫んで左に飛ぶ。ボールはどうにか菅谷のミットにおさまった。
「ストライクバッターアウト! ゲームセット」
 んでバッターはと言うと、空振りして、しかも大振りだったから反動で転んでいた。無様極まりない。
「両チーム整列」
俺は帽子を取り列、に並ぶ。
「3対0で堺中。両軍、礼!」
『ありがとうございました』


試合の帰り道、俺は自転車の後ろに聖を乗っけて走っている。
「…たくっ」
試合の後にもう一回喧嘩したのだが、こいつは俺が帰ろうとして自転車に乗ったら何事も無かったかのように後ろに乗ってきやがった。一応喧嘩中なんですけど?
「何よ? まだ怒ってんの?」
腕を俺の体に回して落ちないようにしてる聖が横から顔を出して聞いてきた。
「怒ってねぇよ」
俺は、ぶっきらぼうに返事した。聖は「ふ〜ん」と言いながら顔を戻す。
しばしの沈黙。
「ねぇ」
また、顔を前に出して聖が声をかけてきた。
「あんだよ」
ちらっと聖を見る。ショートカットの髪が風でなびいている。
「省吾って好きな人とか居ないの?」
唐突な質問である。
俺は「ぅ〜ん」と呟きながら首を傾ける。
「別にいねぇな。今は女より野球だ」
大会も近いしな。女にうつつを抜かしている暇は無い。
「ふぅん」
何やら聖は「ぅんぅん」と頷いている。
「そう言うお前はどうなんだよ? 居るのか好きな人?」
俺の質問に聖は頷くのを止め、俯いてしまった。頬も目に見えて紅い。
「お前…もしかして」
居るのか?この聖が?信じられん!
「まぁ…一応」
俯いたまま、聖が答えた。
「え?」
俺は片足を地面に付けて自転車を止めた。
「まじで? 本当に?」
俺は体ごと後ろを向き聖の両肩を掴んで前後に揺すった。
「ちょ…何!」
怒った顔で聖に手を弾かれるが俺は言葉を続ける。
「誰?」
聖は怒った顔のままで俯いて何かを呟いている。
「…………」
聞き取りづらい。
「聞こえねぇよ。もっと大声で喋ってくれよ」
聖は俯いた顔を上げて俺の目を見て『そいつ』の名前を言った。


あのあと、俺と聖は一言も喋らずに家路に着いた。
「ふーっ」
自室のベットに体を投げる。ベットがギシギシと鳴ったが気にしない。
寝転んだまま腕を組んで「ぅーん」と唸る。
別に聖に好きな人が居ても俺には何の関係も無い、あいつとは只の幼なじみだ。だが……何でだろう? 何かモヤモヤする。意味の無いため息が後を断たない。
「…あぁもう考えても仕方ない! 寝る!」
俺は布団を頭まですっぽり被り、深い眠りについた。
明日は月曜日だ。


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