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Friends
【青春 恋愛小説】

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Friends-1

主審が右手を上げる。
「ストライクバッターアウト」
ちょろい、七回終わって0対3かよ。しかも、相手チームは俺の球にかすりもしねぇ。
ハッ!雑魚が!
「ツーアウトあと一人だ! しまっていこー」
 キャッチャーの菅谷(すがや)が面を外し、皆に叫ぶ。
この一人を抑えればノーヒットノーランかよ。本当に張り合いの無いチームだな。
俺は振りかぶり、菅谷が指示した内角へ速球を投げ込む。
『ゴツッ』
「うげっ!」
当てられちまったよ。かぁ〜情けないちくしょう。まぁいいや只のショートゴロだな。
 俺は試合が終わると思って一足先にピッチャーマウンドを下りようとする…と、後ろから。
「きゃあ!」と言う声がした。
まさか…おいやめてくれよ。
俺は恐る恐る後ろを振り向く。
「ごめ〜んトンネルしちゃった」
後ろにはウィンクしながら謝っているショート守ってる奴…岩角聖(いわすみせい)が居た。
「なにやっとんじゃあ! ヘタクソ!」
俺はグローブをマウンドへ投げ付ける。
「何よ。エラーしちゃた物はしょうがないじゃない」
逆ぎれかよ!
「お前なぁ! あんなボテボテのショートゴロをどうやればトンネルできるんだよ!」
俺は聖にずかずかと、にじみよる。
「こうやればよ!」
聖はゴロを捕る姿勢をとった。膝は曲がってなくて、グローブが宙を浮いている。
「それで捕れるかボケェ!」
「何よ! これはギャグじゃない! ってゆうかたかがトンネルだけでそんなに怒らないでよ」
俺と聖は鼻先がつくぐらいに顔を近付けさせ睨み合う。
「お前は家に帰って編み物でもしてろボケッ!」
「はぁ? あんたがすれば?」
この俺と聖のやり取りをチームの皆はまた始まったよ、と思いながら見ている。そりゃそうだろう。一試合に一回はこの口喧嘩が始まる。いわば恒例行事なのだ。


俺と聖の関係は俗に言う幼なじみである。家が近所に合って、小学生の頃はよく遊んだもんだ。 ここまでは普通の幼なじみ何だが、問題は中学に入ってからだ。
 俺は中学に入り、野球を始めようと意気揚揚と野球部の部室へ行った。部室のドアノブに手を掛け、ドアを開ける。部室の中には…女性が一人…そう聖が居た…しかも上半身裸…いやブラはしてたけど。多分着替えの途中だったんだろう。
「おわっ! ごめん…」
 慌ててドアを閉める。そりゃそうだろう。野球部の部室に来たら、幼なじみが居て、しかも上半身裸と来たもんだ。
数分後もう一回ドアを開けてみた。部室の中には純白のユニホームに身を包んだ聖が立っていた。
「何故お前が居る!」
当たり前の言葉である。
「えっ? 入部したのよ? 言わなかったけ?」さも同然に言ってやがる。
 俺はこの女(あま)に問う。
「貴女、性別は?」
「女」
 もう一丁。
「ここは?」
「野球部の部室」
 もう一回。
「貴女は何部?」
「私は野球部」
 さらに、もう一回。
「さぁ僕は?」
「私の着替えを覗いた変態さんかな?」
俺は聖に近付き、頭をどついた。
「誰が変態じゃアホ!」
聖は頭を擦りながら反論してくる。
「何よ! 私の裸、見たじゃない。ってゅうか、部室入るときはノックぐらいしなさいよ!」
クッと後ろに一歩下がる…が!よく考えてみろ。ここは、野球部の部室だ。
「女が居ると思わんだろ普通!」
しかも、上半身裸で。
「実際いるじゃない」
聖はえっへんと意味もなく威張る。この減らず口が!
「っうか何で野球始めるんだよ!」
すっごく気になる。
「えっ? ……よしっ! 練習にレッツゴー!」
「あっ! ちょっおい!」
止める俺を無視して聖はグラウンドへ向かっていった。
 それから、半年…俺は二年生を押し退けてエースピッチャーになり、聖は何故かショートのレギュラー何だこれは夢か?


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