鎮魂(その3)-6
やがて蜜汁が滲んだ陰部に、あの人の鞭が振り下ろされる…。
あの人は、あのときの私であることに気がつくことなく私を嗜虐し続けた。鞭がうねり狂いなが
ら私の肌に吸いつくときのあの音と私の呻き声に、あの人はあのときと同じように官能と狂気に
充ちた眼孔を再び輝かせていたのだ。
あの人にとって私が誰であるか…あの人がそのことを知らないままに、私を凌辱することに私は
心の奥底で密かに笑っていたのだ。
いや、私がその鞭を肌に受けた瞬間に唇から洩らす快感の絶頂の呻きに、あの人の柔和な顔の仮
面が剥げ落ちていく…罪に歪んでいくあの人の顔に、私自身が淫らな願望を抱いていたのだ。
あの人との罪に充ちた濃密なその時間に私は満足していた。嗜虐の性戯に満ち足りた時間が陰部
によみがえり、澱んだように脳裏を駈けめぐる。
そして私は、その黎明の冷たい冷気の中で再び微睡み始めていた…
それは、あの人の白いペ○スだった…
黒衣に身を包んだ私は、ゆっくりと拷問台で喘ぐもうひとりの私自身に近づく。台に縛られたも
うひとりの私の股間には、あの人のペ○スがあるのだ。秘部の割れ目から、まるで爬虫類が蠢き
這い上がるようにあの見覚えのある白いペ○スが頭をもたげていた。
なぜ… 私の中にあの人がいるの…
私は指でゆっくりとそのペ○スの肉縁をなぞる。そしてその包皮を撫でた。確かにあのとき私が
精液を呑み干したあの人のペ○スだった。艶やかに濡れた肉棒が、拷問台のもうひとり私の陰毛
を掻き分け、秘所の割れ目から脂肪の塊のような肉棒を晒していた。
もうひとりの私が虚ろな瞳をして拷問台の上で体をくねらすと、私はその股間のペ○スに顔を近
づけていく。
どうしてあの人のペ○スが私の陰部に生えているの…。
憎み、愛し続けたあの人のペ○ス…
私はあのナイフを手にしていた。そしてゆらめくように屹立したその肉棒の表皮にその刃物を触
れた。もうひとりの私が顔を強ばらせ呻く…。その刃物の鋭利な光沢が、私の中に淫虐な欲情を
背筋に走らせる。そしてその一物にゆっくりと刃物の腹を這わせるのだった。
そのペ○スの先端の細い切れ目、白い亀頭、そして雁首のえぐれた太い肉縁に、毒々しい光沢を
放つその刃物でゆっくりなぞり上げていく。その皺のない包皮には農緑の太い血管がぬめり始め
ていた。