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「グラスメイト」
【青春 恋愛小説】

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「グラスメイト」-6

「もしもし」
僕は、電話の呼び出し音で目を覚ました。時計の針は午前八時を指していた。昨晩はなかなか寝つけなかったので、実質の睡眠時間は三、四時間程度だろう。
「源川さんのお宅でしょうか。」
赤く充血した目を擦りながら、答えた。
「そうですけど」
「平ですけど、」
そう言われたが寝起きの頭は、うまく働いてくれない。少し目を虚空に泳がせた後、その名字を、使わない脳みそから引っ張り出すことができた。
「誠くんの御両親で?」
「はい、そうです。その誠が、ですね。誠の、ですね・・・。」
声が震えていた。それだけで、何か尋常ではない事が起こったことは容易に想像できた。
「あの、一昨日にですね、あれ、昨日だったかな。・・・とにかくですね・・。」
受話器からは、声とともに感情が溢れてきた。
「一体、・・・どうしたんです。誠くんに何か?」
僕は溢れ出る感情を何とか救い上げようとする。

誠が、死にました

長い嗚咽のあとに、搾り出すように。
その短い言葉が木霊した。
何を言っているのだろう、僕はそう思った。なぜ、彼の言葉は震えているのか。なぜ、受話器を持つ手が震えているのか。なぜ、なぜなぜ・・・。
シンダ?
どういう意味だろう?僕はまだ夢を見ているのだろうか。そうに違いない。
適当に相槌を打った後、僕は受話器を置いて、すぐに携帯を取り出した。そういえば最近、誠に近況を聞いていなかった事を思い出したからだ。
トゥルルル
トゥルルル
何から話そうか。
トゥルルル
まずは、『元気か』って声を掛けよう。今ごろ、向こうで頑張っているのだろうか。一度くらい訪ねて行ってみようか。
トゥルルル
それにしても遅い。何をしているんだろう。
トゥルルル
トゥルルル・・・・


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