キミに不時着する日-8
「だから、このへんで、どう？」
「どう、って何がどう？」
ユキはいつになく真面目、ということもなく、相変わらず眠そうな半眼で、可愛らしく首を傾げて、
「よく見知ったオトコに不時着してみる、っていうのは、どう？」
……ん？
「……いま、なんて言った？犬語？」
「や、ニホンゴ」
「うーんと、非常に難解な日本語すぎておばかさんなサクラコちゃんには理解不能だったんだけど、わかりやすくお願いします」
「……サクにもわかるように？」
ユキはうーん、と悩んでいるんだか眠いだけなんだかわからない顔をして、ああ、うん、と一人で頷いた。で、両腕を私に向かって広げた。
「ぎゅうってしてあげよう、おいで？」
ぴろりろりーん、で彼氏に振られた日。その日、幼なじみが彼氏になりました。
あれじゃない、これ、振られて傷ついた私につけ込んだ、って言わない！？
「わわわわんわわ？」
「……『いま気付いたの？』」
「おー、せーかい。よくわかったね？」
「楽勝！」
本日、キミに不時着します。