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SFな彼女
【SF 官能小説】

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SFな彼女 -Sweet Face編--2

「『カエデさまに よろしく』」
俺はメモを握り締め、頭を抱えた。
「何で……何でだよ……ッ」
ユズリハがいなくなる。
そんなこと、この二週間考えたこともなかった。
いつかは自分の元から去る、なんて漠然に考えたことはあったけれど、実際にいなくなるなんて――
そして、そんなことが本当に起こったなら、自分はどれだけ取り乱すのだろうとも考えた。
しかし、実際は――
「寂しい筈なのに、どうして関係ないあいつの顔ばっかり浮かぶんだ……!!」
ユズリハが去る。俺は悲しい筈だった、寂しい筈だった。
それなのに、心の中ではそんな思いの片隅に、どこかほっとしたような思いも生まれていた。
それがユズリハに申し訳なくて、でも自分の感情をコントロールすることもできなくて。

『梅本……』

首を横に振り、気を落ち着かせようと目を閉じれば、脳裏に浮かぶはあいつの言葉。
濡れた唇から漏れる吐息と、俺の名前。
俺はがりがりと頭を掻き毟り布団に潜った。
そしてもぞもぞとスエットの下に手を伸ばす。
(くそ……ッ! 本当に俺……)
ユズリハがやって来てからは、随分ご無沙汰となってしまった自慰に耽り、俺は罪悪感と共に胸糞悪さを感じていた。


眩しい太陽の光がカーテンから差し込み、思わず俺は目を覚ます。
時計の針は既に十四時を示していた。
「………」
目を擦りながらカーテンを閉め、俺はライトの点滅する携帯を手に取った。
のそのそと立ち上がって、昼飯とも言えない昼飯をとるべく冷蔵庫へ向かう。
冷蔵庫の前で携帯を開くと、メール着信のアイコン。
俺は冷蔵庫に寄りかかりメールの受信箱を開く。
「!」
榊からだった。
俺は若干震える手で決定ボタンに触れた。

『楠木ゼミ勉強会のお知らせです。以前から希望がありましたので、突然ではありますが、仏語と仏文学の勉強会を行いたく連絡いたしました。日時は……』

「明日」
木曜日、ゼミの曜日に合わせたのだろうか。
本当に急な話だな。
しかし今は春休み中だ。俺に予定はない。
参加不参加を伝えなければいけないらしく、メールの最後には返信するよう書いてあった。
以前の俺なら、こんな勉強会なんて絶対に参加しなかっただろう。
だが、今は――
「『参加希望』」
その四文字だけを打ち込み、送信する。
ふうと息をついて冷蔵庫を開け、ビールか烏龍茶か迷い、結局後者に手を伸ばした。
「……ただ会いたいなんて」
俺は独りごちる。
「どうしちまったんだよ、俺」
言いながらも、明日が待ち遠しいと思う自分がいた。


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