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SFな彼女
【SF 官能小説】

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SFな彼女 -Sweet Face編--1

何でお前がそんなに可愛いんだよ!


SFな彼女 -Sweet Face編-


1. 彼女によろしく

ある朝、俺――梅本正樹(ウメモトマサキ)は気だるさと空虚と共に目覚めた。
頭の中がぼんやりと霞んで、記憶が飛んだみたいに昨日の夜に何があったのか思い出せない。
それでも俺は冷静だった。この感覚には慣れている。
いつもこうなんだ、女と寝た次の朝は。
もう一度寝ちまえばすぐに治る。この頭ん中にぽっかり穴が空いたような――そんな感覚は。
ただ今日はいつもとは違って、何かが欠けているような、別の違和感も覚えた。
やおら起き上がり、俺は辺りを見渡してみる。
乱れたシーツに落ちている栗色の髪の毛や、ゴミ箱に溢れる生々しいティッシュの山。
俺は寝ぼけ眼でそれを見て、ようやく何かが欠けていることに気付く。
「……あれ?」
傍らに居候宇宙人ユズリハの姿がなかった。

思えばユズリハがやって来てから既に二週間が経とうとしていた。
まったく、これでもかってーほどにエッチが好きで、エロい身体の可愛い居候。
しかし、昨日俺とユズリハが身体を重ねたのは、実に三日振りのことだった。
ユズリハが来てからというもの、毎日あるいは一日置きに彼女とヤっていた俺なのだが、どうも最近そんな気が起きない。
別に彼女の身体に飽きたというわけではないのに。
もっとも、飽きたと言えば、変幻自在な彼女のこと、顔も体型も変えて相手してくれることだろう。
しかし、そんなんじゃないんだ。俺にヤる気が出ない理由。
それは、あのくそ生意気で四六時中仏頂面の――榊楓(サカキカエデ)の存在。
ひょんなことで抱いてしまったその女を、俺は忘れることができなかった。
吸い付くような肌や柔らかな胸の感触、快感に喘ぐ上気したその顔と、喘ぎの合間に俺を呼ぶか細い声。
そのすべてが、脳裏に焼きついて離れない。
俺は分かっていた。
俺が――あの榊楓に惚れてしまったんだってこと。


「ユズリハ……」
置き時計を見やれば、短針と長針は既にてっぺんで重なろうとしていた。
「どこ行ったんだ?」
呟きながらベッドから抜け出る。
そして俺はベッドから降りると同時に、くしゃりと何かを踏んでしまった。
「?」
足をどけると、クシャクシャになった一片のメモが落ちていた。
丸められたそのメモを広げてみる。
「ユズリハ」
それは、ユズリハの残したものだった。
ボールペンで書いたようだったが、その文字はまるでコンピュータが打ち出したかのようだ。
きちんと漢字とひらがなの使い分けもされてある。
「……『滞在期限が迫りました』」
そのメモを見て、俺は思わず呆然と立ち尽くした。
そして内容を確かめるように、メモに書かれた文字を読み上げる。
「『もうすぐお別れです』」
俺はメモを片手にベッドの上に腰を下ろした。
「『地球に来て マサキさまに会えて とても楽しかったです
  さようならを言うのは寂しいけれど またいつかきっと会えますから』」
「『ありがとうございました』」
そこまで読み、息をつく。
そして、少し行間を空けた後に書かれた言葉を見て、俺は何とも言えない気持ちになる。


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