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けんぽなし
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けんぽなし〜クスリ〜-1

「おおっ!!瑞希か?瑞希だろっ変わんねーなーお前!!」

そう言いながら私の背中をダイナミックに何度も叩くのは…
奥野 空(おくの そら)保育園時代からもっとも苦手な…苦手な…

だって、すぐ叩くし、口悪いし…あの頃から…

ー…耕太郎とは大違いだよ

耕太郎の優しい笑顔が浮かぶ…

ーああぁぁぁ〜…違う、違うのっ

ここは太一の部屋…
あの日から、耕太郎と私はふらっとここへ来るようになっていた。
太一は、やっぱり外が怖いと言って、家から出ようとはしない。
だけど、スッキリ短くした髪を見ると、何か変われそうな…気がする…

で……

ーどうして空がいるのよ!?

「耕太郎から電話もらってさー…あいつっ、呼びつけといて自分はさっさとデートかよ!!何だよそれっ」
空、そう言いながらまた、私の背中を叩く…

ーそうか…耕太郎と空…同中だったよね…ああ〜…帰りたい…

「…瑞希、耕太郎と 同じ高校だって?俺、円(まどか)と高校一緒なんだけど…声掛けてみようか?」
空、太一がしていたゲームを取り上げ、得意げに言った。
「え…円?東野 円(とうの まどか)?」
私、空の顔を勢いあまってのぞき込んでしまった…

「邪魔だ、どけっバカっ!!」

空、私の顔に肩を押し付けた。
「痛っ…」
ー……や…やっぱり苦手…

「円…って北中だよね…」
太一、パソコンの電源を入れながら言う。
「北中が何だよ?」
空はゲームの映る画面から目をはなすことなく太一に言葉を返した。
「あ…いや…ネットでちょっといやな噂あったから…」

円…色白でくりっ毛で、笑ったまん丸の顔がとてもかわいかった…

私と円は仲が良く、よく一緒に遊んでいた。

「噂って薬だろ?」
ドクンー

ーえ…

空の言葉に体が凍りつく…

「うん…ネットの書き込みだと女子の間で流行ってたみたい…」
ー…でも…円がやるわけないよ…
「知ってる、俺らの中学でもやってるやついたから…何か‘痩せ薬’って言ってたぜ…」
ー……

円を信じてない訳じゃない…
いや、信じてる。
でも、何?…何で?

…こんなに落ち着かないのだろう…

私の頭の中は円の事でいっぱいだった。

「‘痩せる薬’って聞いた事ある?」

昼休み、私は坂井さんに思い切って聞いてみた…


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