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けんぽなし
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けんぽなし〜再開〜-1

「まつぼっくりがあったとさ〜、た〜かいお山にあったとさ〜、ころころころころ転がって…」

私の癖だ。

そんな歌を口ずさみながら手にはどんぐりを握り締めている…

「瑞希!?」
それは高校の入学式での事だった。
クラスの教室に入った瞬間、後ろから肩を掴まれたのだ。
ー!!…え??…
「瑞希だろ?」
「あっ!!…え??耕太郎!?」

ここから始まったんだ。
私の…私達の…

坂下 瑞希(さかした みずき)高校生活初日に仲間 耕太郎(なかま こうたろう)と再開した。
幼なじみ…と言うべきか、初恋…と言うべきか、同じ保育園で5年間を供にした。
仲間の1人…
少人数の保育園だったため、クラス13人、かなり密に過ごしていたのだ。

「びっくりしたよ…瑞希に会えるなんて」
終礼を終えると耕太郎が駆けつけてきた。
ドキ…
「うん…だね」
ー…ちょっ…緊張するー…
「瑞希、変わんないからすぐ分かった」
「そ…耕太郎だって…変わんないよー」
小さな私をのぞき込みながら話す…
その仕草…ちっとも変わらない…
その時の優しい顔も…ちっとも変わらない…
そして、その時の私のどきどきも…
「一緒に帰ろ」
ーえっ!!
ドキっ…
無邪気に言う耕太郎に、私の心臓はついて行けない…
ー…ちょっ…ちょっと…
くるしー…
どきどきしすぎ…
ー…どうしよう…本当に緊張するー
その時、耕太郎の携帯が鳴った。
「あ〜…ちょっとごめん…」
耕太郎、携帯をポケットから取り出した。
ーいいよー…ゆっくり…
私、どうにか心臓を落ち着かせながら、ゆっくりと深呼吸した…
「さくらー?こっちも今終わった…うん…分かった…じゃあな…」
ー……
耕太郎の電話してる声でピンときた。
「…彼女?」
私、どんな顔してただろう?
「うん、そう、ごめん行かなきゃ、約束してたんだ、忘れてた、今度またゆっくりな」
ちゃんと笑ってたなかな?
「いいよー…早く行って行って」
これも失恋?

ー…なんか…疲れたーー…
私、椅子に座り込んでしまった。
ーこんなにどきどきしたことないからなー…もう…耕太郎マジックだ…

この時は思いもしなかった…ただの小さな出会いだと思ったから…


「今日こそ一緒に帰ろ」
翌日の終礼後だった。
耕太郎は私のバッグをがっしり掴んでそう言った。

ドキン…

ー…どうしよう…ダメだよね〜…だって彼女いるんでしょ…だって…彼女いるのに一緒に帰るなんて…だって…そんなの…

「気になってたんだ…太一のこと…」
!!っドクン…

私の動きが…思考が…停止する。


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