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ジャム・ジャム・ジャム
【SF その他小説】

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レッド・レッド・レッド-6

「愛されてんだな、お前」
「ん……」
照れ臭そうに頷いてから、ジャムはその照れ臭さを隠すように笑った。
「ひとりっ子だからって、行きすぎなのよね、愛情が。パパもリムも」
ふうん、と鼻を鳴らし、エイジは何か考えるように上を仰いだ。
高い天井を見上げ、彼はぼそりと呟きを漏らす。
「愛情、ね……」
「さあ、いいかしら?」
婦警の言葉に、エイジが我に返る。
彼はがりがりと頭を掻いてから、婦警が指差している先を見やった。
どこから取り出したのか、書類の束を手に婦警が指差す先は、数メートル向こうにある扉。
「あそこの部屋に来てもらえるかしら。幾つか、訊きたいことがあるの」
婦警が言うと、三人は顔を見合わせて互いに首を傾げた。


狭い部屋には小汚いテーブルがひとつと、パイプ椅子が四つ。
彼らは若干錆びの見えるパイプ椅子に座り、眉を顰めながら話す婦警の言葉を聞いていた。
ジャムが訝しげに婦警の言葉を繰り返す。
「……『ローゼンロット』?」
そうよ、と婦警は頷いてからひとつ息をついて言った。
「赤薔薇(ローゼンロット)海賊団。あなたを捕えた海賊団も、もしかしたら奴らの仕業じゃないかと思うの」
ジャムは勾留されている二人の元へ向かう前に、この婦警から誘拐された時の状況について細かく質問を受けていた。
もっとも誘拐したのはエイジとダナではないし、そもそも誘拐されたわけでもないと彼女は答えた。
そしてマヌゥ・シーチで海賊に捕まった一件を婦警に話したところ、婦警は神妙な表情を浮かべたのだった。
「さっき、あなたに話を聞いてから少し調べてみたの。やっぱり、怪しいのは――」
「そのローゼンロット海賊団って奴らか。どんな奴らなんだ?」
「今話した通りよ。トレジャーハンターを主に狙い、トレジャーを横取りする卑怯で小ずるい連中。最近になって目立ち始めた海賊で、情報も少ないのよ」
婦警は言って、書類袋の中から資料を取り出し、テーブルに広げた。
「確実に言えるのは、奴らが赤色人であること。あとは奴らの多くが女かもしれないって情報もあるわ」
資料は、赤色人についてのものだった。
ギャラクティカには多様な種族が存在しているが、中でも数が多いのがヒューマンだ。
このヒューマンに準ずる種族として「亜人」と呼ばれる者がおり、彼らはヒューマンに似た容姿と、言葉・文化を持っている。
この赤色人も亜人のうちのひとつ。
容姿としてはほとんどヒューマンと差はないが、褐色の肌と顔へのイレズミ、そして真っ赤な髪が特徴であった。
火星に住む種族であり、その性格は好戦的と言われている。
「婦警さん、間違いない。あたしを殴った奴、真っ赤な長い髪をしてた!」
ジャムが資料を見て言った。
「暗かったし良く覚えてないんだけど、その場にいたのは三人くらいで……どれも女だったと思う」
「ローゼンロットの線が濃くなって来たわね」
婦警が何やら不敵な笑みを浮かべる。
彼女は広げられた書類を整えると、ちらりとエイジに目配せした。


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