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ジャム・ジャム・ジャム
【SF その他小説】

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レッド・レッド・レッド-5

第2章 赤薔薇海賊団

「やれやれ、お話は終わったかしら?」
扉に寄りかかりながら声をかけたのは、女のC・ポリスだった。
短い紫の髪とミニスカートが印象的な美人に、例によってエイジが鼻の下を伸ばす。
「婦警さん♪」
ジャムがにやけた面のエイジをきっと睨み付けた。
婦警はゆっくりとリムの元へ歩み寄る。
「鍵をお預かりするわ」
婦警の言葉にリムは頷き、牢屋の鍵を手渡した。
さて、と婦警は優雅な仕草で髪をかき上げてから、エイジとダナに目配せして言う。
「安心なさい。あなた達は無罪放免。ちょっと書類を書いてもらって……それと少し訊きたいことがあるから、それが終わったら帰っていいわよ」
そう言って、今度はジャムへと視線を移す。
「それで、チュール様はどうなさるのかしら?」
「お嬢様は、この者達の元に留まると」
承知したとは言え、やはり若干の心残りはある様子でリムが答える。
婦警は頷いて言った。
「なるほど、分かりました。……そうしたら、丁度良いわね」
後半は自分の中で確認するように小さな声で言って、婦警は四人に留置室を出るように促した。
コズミックポリス第一留置場を出て、広いロビーのような場所へ着くと、婦警はちらりとリムを見やる。
その視線にリムが頷いた。

「お嬢様、わたしは此処でお別れです」
言って彼女はポケットの中から何か取り出すと、ジャムの手にそれを握らせた。
「お嬢様、これを」
「! あたしの、髪留め?」
それは、いつもジャムが結んだ髪に着けている、赤い飾りの付いた髪留めだった。
当然今も彼女はこの髪留めを着けている。
ひとつしか持っていない筈なのに、と戸惑ったような表情を浮かべるジャムに、リムは顔を俯かせて言った。
「今、お嬢様が着けておられる方の髪留めには……私が発信機を付けておいたのです。本当に、申し訳ございませんでした」
頭を下げるリムに、ジャムは言う。
「……もう、いいの」
一発ひっぱたいちゃったしね、とジャム。
彼女は結い上げていた髪をほどき、リムから受け取った髪留めで再び結い直す。
真っ赤な髪留めは、ジャムの明るいシアンの髪によく映えた。
そして彼女は今まで自分が身に着けていた方の髪留めを、そっとリムに手渡す。
「あたし、パパは嫌いだけどリムは好き。小さい頃からずっと一緒にいたし、リムがあたしを心配してくれてること、凄く感じるもの」
あたしが家出した時、覚えてる? とジャム。
「家出するって言った時、リムにこっぴどく怒られたっけ。でも、何だかんだ言って笑顔で見送ってくれたよね」
「――『生きることって、どんなことだろう』」
リムがぼそりと、呟くように言葉を紡いだ。

「『生きることって、きっと自分が輝けること』――お嬢様が、そう仰ったから。わたしは、笑顔で輝いているお嬢様を見たかったから」
そして彼女は、今までにジャムさえも見たことのないような笑顔を浮かべて、言った。
「だから、心配だったけれど……お嬢様の笑顔を見ることが出来て、リムは幸せです」
ジャムと硬く握手を交わし、リムは深く一礼をする。
そして、エイジとダナの二人の方を向いて、もう一度深く一礼をして言った。
「あなた方には、迷惑をかけました。そして、お嬢様を助けて頂いたこと、感謝致します」
「本当めいわ……ぐッ」
言いかけたエイジの脇腹をダナが突いて、言葉を遮った。
「アタシだって、あなたの気持ち分かるわ。大切な人を守りたい気持ちは、誰でも同じだものね」
「……ありがとうございます。ジョナダイニングの店長にも、よろしくお伝え下さい」
ダナの言葉にやんわりと微笑み、最後に軽く頭を下げてから、リムはその場を去った。
その背を切なげに見つめるジャムを横目で見やり、エイジが呟く。


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