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ジャム・ジャム・ジャム
【SF その他小説】

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レッド・レッド・レッド-19

「え、ええ!? だって兄貴、怪我してるし……」
「馬鹿野郎! この危険なダンジョン、嬢をお守りしねえでどうする!」
戸惑うルーが、ちらりとジャムに視線を向けた。
そしてもう一度ガルーを見やり、こくこくと口の端を引き攣らせて頷く。
「で、ですよね」
「おうよ。その辺に防火シートとライトが転がってる筈だ、探しな」
ルーの言葉にガルーは満足気に頷く。
彼はアイテムを相棒――というよりは舎弟なのだろうか――に探させている間、エイジの方を向いて言った。
「おう、というわけだ。俺達も『若返りの水』探しに付き合うぜ」
張り切るガルー。
エイジとダナは顔を見合わせて、目を瞬かせる。
「タフねェ、あンだけ宙吊りになってて額かち割ってンのに」
ダナがガルーのタフさに、半ば尊敬し半ば呆れたように言った、その時だった。
ばたり、と突然ガルーが地面に突っ伏した。
「ガルー!?」
慌てて駆け寄るエイジ達。
ルーが苦しげな呻き声を上げるガルーの身体を起こし、彼の名を呼ぶ。
「兄貴!? 兄貴ぃ!」
しかし次の瞬間、ルーの身体にべったりと付着した赤い血に、エイジ達はぎょっとする。
「ルー、それ……」
「あ、兄貴!?」
ガルーの額から血が流れていた。
辺りが暗い上、人狼ゆえの体毛のせいで、血が流れ出しているのに気が付かなかったのだ。
――本人くらいは気付いても良さそうなものだが。
「こんなに血が出るなンて、打ち所が悪かったのかしら。でも大丈夫、もう血は止まってるみたい」
ダナは言って、ウエストバッグの中からガーゼと包帯を取り出して応急措置を施した。
「だけど、あんた達は此処で引き返した方がいいわね。此処で回復を待つってのも危険だし」
ダナの言葉にルーは頷き、それから不安げにジャムを見やった。
ジャムはルーの視線に気付くと、笑みを浮かべて言った。
「あたし達なら大丈夫よ、ルー。ガルーに、そう伝えておいて」
「はい、ちゃんと伝えておきますッ」
びし、と敬礼するルー。
そしてガルーを背負うと、彼はエイジに向き直って言った。
「無事に帰ったら、ロージィに寄ってくれ。また一杯、奢るからさ!」
「もちろん!」
力強く頷き、再び握手を交わすエイジ。
そうして人狼達と別れ、三人は遺跡の奥へと再び足を進めたのだった。

「!」
「どうした?」
「……ううん、何でも」
(気のせいよ、ね)
――ジャムだけが、遺跡への不思議な違和感と気配を感じながら。


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