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トラブルバスターズ01
【SF 官能小説】

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トラブルバスターズ01 [二章]-6

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そして、夜という時が来る。
人工の空は、青く光ることを止め、映し出されるのは地球の夜空を真似た偽りの月と偽りの星々。

ドーム球場の中央入り口から大きな道を隔てて建っている大きなビルの屋上に、二つの影が現れる。
二足での直立と人型をとっているが人の平均身長より遥かに大きく、小さい方ですら2メートル半は超えていた。
パワードスーツだ。
紅い鎧武者を模ったパワードスーツ[ガーベラ]
腰に備え付けられている刀状の得物からして駆るのはミリィか、
重装甲重火力のパワードスーツ[ヘブン]
バーニィが調整していたのだから使用者も彼だろう。
そうすると、レイはどこにいるのだろう?
同じ屋上には彼の姿も彼のレイブンの姿もない。
黒い天井・・・似非(えせ)夜空があるだけだ。
『十人程でドームの周りに張っているみたい』
赤い鎧武者が、他の二人に通信機能で伝える。
『只の見張りだろうが、潰しちまうか?』
[ヘブン]が手に持ったライフルをドーム入り口の影に向ける。
『構うだけ無駄でしょ。行くよ、バーニィ』
『了解』
背面のブーストが火を噴き、幅広の道も飛び越える飛翔に近い跳躍。
ガチャ
ガチャン
二人が入り口の前に降り立つと、回転式ドアが静かに回り始める。
『中に入って来いだってさ』
メインホールのドアをくぐり、客席からグラウンドを見下ろすと
一人の女性がわざとらしい程に十字架に張り付けにされていた。
「マリナさん!」
しかし、マリナに近づく事はできなかった。
PSに装備されているセンサは十字架の奥に潜むモノも捉えていたのだから。
「ザイードだろ。出てこいよ」
外部スピーカーの出力を最大にしてバーニィが呼ぶ。
マイクを伝ってザイードの声がドーム内に響き渡り、十字架の奥から男が姿を現した。
「よく来たなぁ。うれしぃぜぇ」
「聞くだけ無駄だと思うけど、素直に彼女を引き渡す気はない?」
「変なPSがいると思ったが女の方か?答えは決まってNOだ」
ミリィ達の入ってきた扉の左右の両側からガチャガチャと音を立てて、3mはある鋼鉄製の巨大蜘蛛が現れた。
会社の警備や、軍隊が戦争で使用しているような簡易AIを搭載した戦闘用のロボットだ。
「形式番号2SC1815通称[ガンズスパイダー]。そこいらでも多く出回っているから見慣れたもんだろ?」
堅牢な装甲は人間用のライフルなどものともしないし、
生身の人間が相手なら振るう鋼鉄の腕で十分なほどのパワーを持ち合わせている。
さらにただの蜘蛛を大きくしたのと違って様々な武器を装着できる。
つまり物によっては、戦車や戦闘機すら破壊してしまう。
ザイードが言っている内にガチャガチャと一体また一体と増えて左右に四体ずつ計八体まで増えた。
「だが、この数ならどうだ?」
最初に動き出したガンズスパイダーは小型ミサイルの発射管を背中に背負い込んだ機体だった。
「時間の無駄ね」
ミリィが呟く。
煙の尾を引いて、左右からマイクロミサイルが二人に襲いかかる。
ダン!!
左足が地面を蹴り飛ばす、同時に鎧武者の背中が爆発・強大な推進力が生まれ、ミリィの踏み込みが人間では到達できない力強さとスピードに達した。
バキッバキッバキペキッバギ!!
アクリル製の座席を幾つも砕き、10メートル以上も離れていた距離を一瞬で詰めた。
いや、それだけではなかった…ガンズスパイダーの直前まで踏み込んだ[ガーべラ]のマニュピュレータには腰にマウントしてあるはずの得物が握られていた。
目標を見失った追尾ミサイルが床に衝突して爆炎をあげる。
ほぼ同時に、ミリィの目の前のガンズスパイダーが縦にズレる。


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